“よりかか”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
凭掛28.9%
凭懸22.2%
倚凭15.6%
倚懸8.9%
寄凭4.4%
倚掛4.4%
4.4%
依懸2.2%
寄懸2.2%
寄掛2.2%
2.2%
2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
その時(それは明治四十三年のことであった)出来上った写真は、店先の自転車に凭掛よりかかっている静三の姿のほかは、誰もはっきり撮れていなかった。
昔の店 (新字新仮名) / 原民喜(著)
すると、怎して残つてゐたものか、二三人の女生徒が小使室の方から出て来た様子がしたので、私は何とも言へぬ羞かしさに急に動悸がして来て、ぴたりと柱に凭懸よりかかつた儘、顔を見せまいと俯いた。
二筋の血 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
高いてすり倚凭よりかかって聞くと、さまざまの虫の声が水音と一緒に成って、この谷間に満ちていた。その他暗い沢の底の方には種々な声があった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
虎に倚懸よりかかってみんな昼寝しているのだ。豊干ぶかんはもとより先生である。僕は寒山かんざんだか拾得じっとくだか、それは知らないが、一人の欠けていることが物足りない気がした。
西隣塾記 (新字新仮名) / 小山清(著)
「寒い。」と技師が寄凭よりかかって、片手の無いのに慄然ぞっとしたらしいその途端に、吹矢筒をそっと置いて、ただそれだけ使う、右の手を、すっと内懐うちぶところへ入れると、繻子しゅすの帯がきりりと動いた。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そこには倚掛よりかかりと足掛け台とのある腰掛けのような恰好をしている三つ四つの大きな石があった。
椅子によりかかって黙って社員の顔を眺めていられるだけであったが、社員が昂然こうぜんとして得意そうに英語をしゃべれば喋るほど
ナリン殿下への回想 (新字新仮名) / 橘外男(著)
は更けて、夏とはいえど、風冷々ひやひやと身に染みて、戦慄ぞっと寒気のさすほどに、えいさえめて茫然と金時は破垣やれがき依懸よりかかり、眠気つきたる身体からだ重量おもみに、竹はめっきと折れたりけり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
打たなと気が付た頃には、敵の奴めワッと云て山査子さんざし叢立むらだち寄懸よりかかって了った。
「……あすこに人が一人立っているね、縁台を少し離れて、手摺てすり寄掛よりかかって。」
古狢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
宮殿の上には一人の醜い形をした王がいて、つくえよりかかって罪を決めていた。曾は這うようにして前へ出て往った。王は書類に目をやって、わずかに数行見ると、ひどく怒って言った。
続黄梁 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
彦七不怺こらえずあまりつゆも深く候えば、あれまで負進おいまいらせ候わんとて、前にひざまずきたれば、女房すこしも不辞じせず便びんのう、いかにかと云いながら、やがてうしろにぞよりかかりける、南無妙。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)