寄凭よりかか)” の例文
いま私たちが寄凭よりかかるばかりにしている、この欄干が、まわりにぐるりと板敷を取って、階子壇はしごだんを長方形の大穴に抜いて、押廻わして、しかも新しく切立っているので、はじめから
木の子説法 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「寒い。」と技師が寄凭よりかかって、片手の無いのに慄然ぞっとしたらしいその途端に、吹矢筒をそっと置いて、ただそれだけ使う、右の手を、すっと内懐うちぶところへ入れると、繻子しゅすの帯がきりりと動いた。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ぐたりと左の肩へ寄凭よりかかる、……体の重量おもみが、他愛ない、暖簾のれんの相撲で、ふわりと外れて、ぐたりと膝の崩れる時、ぶるぶると震えて、堅くなったも道理こそ、半纏はんてんの上から触っても知れた。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)