“もたれ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
27.3%
凭竹18.2%
切前9.1%
停滞9.1%
停滯9.1%
背凭9.1%
9.1%
食傷9.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
この室にはベランダはなかったが、バルコンのついた仏蘭西風の窓にもたれると、芝生のむこうに事務所になった会社の建物と、石塀の彼方かなたに道路を隔てて日本領事館の建物が見える。
十九の秋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
垂れはケシ飛び凭竹もたれは干割れ、底がぬけかかったのを荒削りの松板を釘でぶっつけてある。この駕籠で七里半の道をゆられて行ったら、まず命がもたない。
顎十郎捕物帳:23 猫眼の男 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
小光の弟子で光花といふ切前もたれの前を語つた子供上りの丸つぽちやなどはぢつと三藏の方を見て罪の無い笑顏すら見せた。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
十風がよく譽めてゐた長春といふのは切前もたれを語つた。其長春が高座に上つた時十風と細君との無言の間の暗鬪が餘程をかしかつた。中入になつてから「どこがいゝの」と細君は冷淡に言つた。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
ゆっくりしていらっしゃい。実際正月と云うものは予想外に煩瑣うるさいものですね。私も昨日きのうまででほとんどへとへとに降参させられました。新年が停滞もたれているのは実に苦しいですよ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
新年しんねん停滯もたれてゐるのはじつくるしいですよ。それ今日けふひるから、とう/\塵世ぢんせいとほざけて、病氣びやうきになつてぐつと寐込ねこんぢまいました。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
振り返ると十歳くらいの少年が座席の背凭もたれ板の上にちょこなんと腰を掛けて、こっちを見て笑っていた。
花咲かぬリラ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
硝子ガラス扉の方に近づいて、その一方の扉を半ば開け放ちながら、それにもたれれかかった。
風立ちぬ (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
馬鈴薯じやがいもべすぎた食傷もたれから。
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)