“いこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
65.1%
9.0%
遺孤7.8%
3.6%
射込3.0%
鋳込2.4%
1.8%
1.2%
鑄込0.6%
依怙0.6%
0.6%
0.6%
0.6%
射越0.6%
0.6%
0.6%
衣袴0.6%
韋固0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
誠の道を、いたるところの名高い坊さん達に問ひたづね、又ひとりで石の上や小川のへりにいこふとき、自分の心の中に考へたづねた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
下には聖母のいこひたまひし墓穴ありて、もゝいろちいろの花これをおほひたり。われはかの柑子を見、この畫を見るに及びて、わづかに我にかへりしなり。
よく斡旋あっせんしたからとて、抱月氏の死後、彼女が未亡人や遺孤いこに対して七千円を分割し、買入れた墓地まで、心よく島村家の人たちに渡してしまうはずはない。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それから私は注意深くあたりを見𢌞して耳を澄ました。早朝の靜寂が到る所にいこつてゐて、召使たちの部屋の窓にはまだ窓掛が下ろされてあつた。
それをお浪が知っていようはずは無いが、雁坂を越えて云々しかじかと云いあてられたので、突然いきなりするどい矢を胸の真正中まっただなか射込いこまれたような気がして驚いたのである。
雁坂越 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
さりとて信仰なしに宗教の規範や形式に自身を鋳込いこむのも空々しかったし、何か学術の研究に没頭するというのも、柄にないことであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
み慣れし軒端がもとに、いこひゐるしづおきな
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いこひぬ、みぬ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
道齋銘だうさいめいのを探し出して樂しみにして居りましたが、不思議なことに、母の金簪きんかんざし鑄込いこんだ、父の最後の傑作けつさくが見えません。
女房おあやが死んだ後は、その唯一の形見の金簪きんかんざし鑄込いこんで大きい鈴を作り、自分の仕事部屋に掛けて、朝夕清澄な音を樂しんで居りましたが、或夜賊が入つて、芳村道齋を斬つた上
しかるに発露刀一たび彼の心機を断截だんせつするや、彼は自ら依怙いこするところをうしなひたり、仏智はこの一瞬間に彼のうちに入り、彼をして照明の心鏡に対せしめ、慚愧苦憂、輾転煩悶せしめ
心機妙変を論ず (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
地は荒れ、物はこぼたれたる中に一箇ひとりは立ち、一箇ひとりいこひて、ことばあらぬ姿のわびしげなるに照すとも無き月影の隠々と映添さしそひたる、既に彷彿ほうふつとしてかなしみの図を描成ゑがきなせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
この川沿かわぞいは、どこもかしこも、蘆が生えてあるなれど、わし小家こいえのまわりには、またいこう茂ってござる。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いここわがりましてこちらへよう伺えぬと申しますので、手前駈出かけだして参じましたが、いえ、もし全くこちら様へは誰方もおいでなさりませぬか。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いま大塚おほつか樹立こだちはうからさつ光線くわうせん射越いこして、つゆ煌々きら/\する路傍ろばうくさへ、ちひさな片足かたあしれて、うへからりてものみちひらいて待構まちかまへると、まへとはちがひ、ゆるう、のさ/\とあらはれたは
山の手小景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「されば宮中にても御内議ありとうかがったせつ、義貞はいこう不本意でござると、申したことはたしかです」
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
綾の局 この長の日を立ち暮して、おたがいにいこうくたびれました。
平家蟹 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
両隊長、小頭は大抵新調した衣袴いこを着け、爾余じよの十六人は前夜頂戴した絹服を纏った。佩刀は邸内では渡されない。切腹の場所で渡される筈である。
堺事件 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
韋固いこという者が結婚の事で人に逢う約束があって、朝早く竜興寺りゅうこうじという寺へ往ったところで、一人の老人が階段の上で袋にもたれて物を読んでいた。
怪譚小説の話 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)