“彷彿”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ほうふつ77.9%
はうふつ9.1%
そっくり5.2%
ちらつ3.9%
そつくり1.3%
タタ1.3%
さも1.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
荒行にたえたその童貞の身体は逞(たくま)しく、彼の唄う梵唄はその深山の修法の日毎夜毎の切なさを彷彿(ほうふつ)せしめる哀切と荘厳にみちていた。
道鏡 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
垣根(かきね)の近邊(ほとり)たちはなれて、見返(みかへ)りもせず二三歩(ほ)すゝめば遣水(やりみづ)の流(な)がれおと清(きよ)し、心(こゝろ)こゝに定(さだ)まつて思(おも)へば昨日(きのふ)の我(わ)れ、彷彿(はうふつ)として何故(なにゆ)ゑに物(もの)おもひつる身(み)ぞ
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それは隅田川(すみだがわ)を往復する川蒸汽の音に彷彿(そっくり)で、どうかするとあの川岸に近い都会の空で聞くような気を起させる。よく聞けばやはり山の上の汽車だ。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
で、私の臆病には自分ながら愛想(あいそ)の竭(つ)きる位で、倫敦へ帰った後(のち)も、例の貴婦人の怖い顔が明けても暮れても我眼(わがめ)に彷彿(ちらつ)いて、滅多に忘れる暇(ひま)がない。
画工と幽霊 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
蓮華寺へ行つたお志保——彼娘(あのこ)がまた母親に克(よ)く似て居て、眼付なぞはもう彷彿(そつくり)さ。彼娘の顔を見ると、直に前(せん)の家内が我輩の眼に映る。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
……群鳥の わが群れ行(イ)なば 引け鳥の 我が牽け行(イ)なば、哭かじとは 汝は云ふとも、山門(ヤマト)の一本薄(ヒトモトスヽキ) 頸(ウナ)傾(カブ)し 汝が哭かさまく、朝雨の さ霧に彷彿(タタ)むぞ。……(八千矛神——記)
叙景詩の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
含(ふく)み二下り讀では莞爾々々(にこ/\)と彷彿(さも)嬉(うれ)し氣(げ)なる面持(おももち)の樣子を篤(とく)と見留て長庵は心に點頭(うなづき)つゝ頓(やが)て返書を請取千太郎よりも小遣(こづか)ひとて金百疋(ぴき)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)