鋳込いこ)” の例文
旧字:鑄込
それはなにかといえば、既成の流派の形に鋳込いこまれなかったことである。彼の剣法には従って形も約束も、また極意も何もない。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さりとて信仰なしに宗教の規範や形式に自身を鋳込いこむのも空々しかったし、何か学術の研究に没頭するというのも、柄にないことであった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
女房おあやが死んだ後は、その唯一の形見の金簪きんかんざし鋳込いこんで大きい鈴を作り、自分の仕事部屋に掛けて、朝夕清澄なを楽しんでおりましたが、ある夜賊が入って、芳村道斎を斬った上
と源三郎は、しゃちなまり鋳込いこまれたように、真っ四角にかたくなって
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)