いこ)” の例文
されど旅客の來りていこふものもなければか、店頭みせさきには白き繭の籠を幾箇いくつとなく並べられ、客を待てる準備よういは更に見えず。
秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) / 田山花袋(著)
それから私は注意深くあたりを見𢌞して耳を澄ました。早朝の靜寂が到る所にいこつてゐて、召使たちの部屋の窓にはまだ窓掛が下ろされてあつた。
我輩の唯一のいこひの巣だ、なんともあの家へ行くのは樂しみだ、などといい氣分で出かける家に於いては、諸君は、まづたいてい迷惑がられ、きたながられ、恐怖せられ
お伽草紙 (旧字旧仮名) / 太宰治(著)
古縄ふるなはへびとしおどせば、おどされたるびつくりして片足かたあし泥田どろたへふみいれしを衆人みな/\辴然おほわらひす。此みちすべ農業のうげふ通路つうろなればいこふべき茶店ちやみせもなく、半途はんといたりて古きやしろに入りてやすらふ。
こうやって自分を真昼の寂しさにいこわしている、そのことさえも意識していない。
老妓抄 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
まるで伊太利の陽が、晴々とした渡り鳥の群か何かのやうに、南から一塊ひとかたまりになつてやつて來て、アルビオンのがけの上にいこつて、羽を休めてゐるやうであつた。
古縄ふるなはへびとしおどせば、おどされたるびつくりして片足かたあし泥田どろたへふみいれしを衆人みな/\辴然おほわらひす。此みちすべ農業のうげふ通路つうろなればいこふべき茶店ちやみせもなく、半途はんといたりて古きやしろに入りてやすらふ。
私の大事なものに腕を捲き——愛するものに唇をつけ——信頼するものゝ上にいこふ特權を得る、それが犧牲となることでせうか? もしさうなら、まつたく私は喜んで犧牲になりますわ。
さて同行十二人、まづ草にしていこふ時、すで下晡なゝつさがりなり。
さて同行十二人、まづ草にしていこふ時、すで下晡なゝつさがりなり。