お伽草紙おとぎぞうし
「あ、鳴つた。」 と言つて、父はペンを置いて立ち上る。警報くらゐでは立ち上らぬのだが、高射砲が鳴り出すと、仕事をやめて、五歳の女の子に防空頭巾をかぶせ、これを抱きかかへて防空壕にはひる。既に、母は二歳の男の子を脊負つて壕の奧にうずくまつてゐ …
題名が同じ作品
お伽草紙 (新字旧仮名)太宰治 (著)