“虚”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
むな23.2%
きょ20.7%
うつろ13.3%
うつ12.3%
から5.9%
うそ4.4%
きよ3.9%
うろ3.4%
むなし3.4%
すき1.5%
そら1.5%
すか1.0%
1.0%
むなしゅ1.0%
あだ0.5%
いつはり0.5%
いつわり0.5%
くう0.5%
0.5%
そらごと0.5%
キヨ0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
架空かくうの影のむなしい自信と力なのだが、それを承知で、だまされ、たわいもない話だが、それでほんとに、いい気なのだから笑わせる。
一歩、かれが江戸へ入れば、そこには、周馬、お十夜などの毒刃が伏せてあり、うしろには、天堂一角のきょをつけ狙う殺刀がある。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
撫でるとまだ躰温が高く感じられるが、みひらいたままの眼や、なかばあいている口は、もううつろな死をあからさまに示していた。
とにかく清逸は大きな声で西山を呼んでしまった。彼は自分ののどから老人のようにしわがれたうつろな声の放たれるのを苦々にがにがしく聞いた。
星座 (新字新仮名) / 有島武郎(著)
兄きはデツクの艫の方にゐまして、舵の台に縛り付けた、小さい水樽のからになつてゐたのに、噛り付いてゐたのでございます。
うづしほ (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
しまひには、自分で自分を疑つて、あるひは聞いたと思つたのが夢ででもあつたか、と其音のほんとうそかすらも判断が着かなくなる。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
〔譯〕雅事がじ多くは是れきよなり、之をと謂うて之にふけること勿れ。俗事却て是れ實なり、之を俗と謂うて之をゆるがせにすること勿れ。
とお爺さんは、猿や兎や山鳩に、いちいち上機嫌で挨拶して林の奥に進み、山桜の大木の根もとが広いうろになつてゐるのに潜り込んで
お伽草紙 (新字旧仮名) / 太宰治(著)
「故に知る。般若波羅蜜多はんにゃはらみたは、是れ大神呪じんしゅなり。是れ大明呪みょうしゅなり。是れ無上呪むじょうしゅなり。是れ無等等呪むとうどうしゅなり。く一切の苦を除く、真実にしてむなしからず」
般若心経講義 (新字新仮名) / 高神覚昇(著)
たちまちすきをねらう二人ふたり曲者くせものあり。尺ばかり透きしとびらよりそっとかしらをさし入れて、また引き込めつ。忍び笑いの声は戸の外に渦まきぬ。一人ひとりの曲者は八つばかりの男児おのこなり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
○「小声でやってくだせえ、みんなそらっぺえばなしで面白くねえ、旦那が武者修行をした時の、蟒蛇うわばみ退治たいじたとか何とかいうきついのを聞きたいね」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
捨置かば如何いかに募らんも知らずと、貫一は用捨無く※放もぎはなして、起たんと為るを、彼はすかさずまつはりて、又泣顔を擦付すりつくれば、こらへかねたる声を励す貫一
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
早くいッて見れば空漠として広いくうの中に草の蔓は何故無法に自由自在に勝手に這い回らないのだろう。
ねじくり博士 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
男色を妖怪じみたものにしか解さぬ私に、その有様は笑止であったが、然し、お仕えしたい、という言葉にこもる己れをむなしゅうした心事には、胸を打たれずにいられなかった。
死と影 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
彼等は皆過去の十一箇月をあだに送りて、一秒のちりの積める弐千余円の大金を何処いづくにか振落し、後悔のしりに立ちて今更に血眼ちまなこみひらき、草を分け、瓦をおこしても、その行方ゆくへを尋ねんと為るにあらざるなし。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ねがはくは其事のいつはり妄にてあれかしと日比ひごろ念じまゐらせし甲斐も無う、さては真に猶此裟婆界しやばかいに妄執をとゞめ、かの兜卒天とそつてんに浄楽は得ず御坐おはしますや、いぶかしくも御意みこゝろばかり何に留まるらん
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
冥途めいど飛脚ひきゃく」の中で、竹本の浄瑠璃じょうるりうたう、あの傾城けいせいに真実なしと世の人の申せどもそれは皆僻言ひがごと、わけ知らずの言葉ぞや、……とかく恋路にはいつわりもなし、誠もなし
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
虹汀、修禅の機鋒きほうを以て、身を転じてくうを斬らせ、咄嵯とっさに大喝一下するに、の武士白刃と共に空を泳いで走る事数歩、懸崖の突端より踏みはずし、月光漫々たる海中に陥つて、水烟すいえんと共に消え失せぬ。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
それに大阪鮨六片でやっと空腹を凌いでいるようなわけで、今度何か食おうにも持合せはもう五厘しかない。むやみに歩き廻って腹ばかりかせるのも考えものだ。
世間師 (新字新仮名) / 小栗風葉(著)
しかしながらにはそらごともまじへざればそのさまあしきもあるべけれど、あまりにたがひたれば玉山の玉にきずあらんもをしければ、かねて書通しよつうまじはりにまかせて牧之がつたなき筆にて雪の真景しんけい種々かず/\うつ
ところが、此歌などになると、少しキヨしてゐる様な歌口である。病的ではあるが、一種の単純化はある。かうした点も、彼の、他人と違ふ処から来るのであらう。