“うそ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ウソ
語句割合
63.6%
9.2%
虚言7.0%
5.3%
嘘言2.3%
2.3%
虚偽2.1%
1.3%
1.1%
虚構1.0%
虚誕0.7%
虚僞0.4%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
虚事0.3%
虚妄0.1%
0.1%
虚情0.1%
0.1%
偽言0.1%
嘘伝0.1%
嘘説0.1%
0.1%
空嘯0.1%
虚欺0.1%
虚譚0.1%
訛言0.1%
譃言0.1%
迂疎0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
力松はさう言つて口惜くやしがるのです。一國らしい中年者で、田園の匂ひが全身にあふれるだけに、此男にうそがあらうとは思はれません。
すると菊池はまゆを挙げながら、「うそだよ、君」と一喝いつかつした。僕は勿論さう云はれて見れば、「ぢや譃だらう」と云ふほかはなかつた。
虚言うそいて……革財布は彼方で入用いりようとはなんだ、ちゃんと此処こゝに百金届いていますよ……其の百両の金は何処どっから持って来たんだ
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
岩松の言葉には、もう掛引もうそもあろうとは思われません。それを聞いて一番驚いたのは、隅の方にうずくまっていた、縄付の新吉でした。
と、宮川は嘘言うそをついた。美枝子のことをなぜ宮川が知っているか。それをいえば、矢部はきっとびっくりするに相違ない。
脳の中の麗人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
が、そのことを其處の僧に言ふと、僧は苦笑しながら、今年はどうしたのかこの裏山から奧にかけてうその鳥が誠に多く、みな彼等に花の蕾をたべられてしまひましたといふ。
花二三 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
... 拵えますが僕はよく知りません。しかし玉子は真誠ほんとの半熟が一番消化も良し、味も良いようです」主人「半熟に真誠ほんと虚偽うそがあるかね」
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
云ふ女なり何時いつおれが手前に百兩などと云ふ大金をあづけしやコレ宜加減いゝかげんうそつけと恐ろしき眼色にて白眼にらみ付けるを大岡殿見られコレ/\久兵衞當所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
此様こんな事ならまだ幾らでも列べられるだろうが、列べたって詰らない。皆うそだ。うそでない事を一つ書いて置こう。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
腸チブスの予後にあるものが、食欲がない……そんなしらじらしい虚構うそがあるものか。みんな虚構うそだ。岡のいう事もみんな虚構うそだ。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
君江はこれを読んだ時、何だか薄気味のわるい、誠にいやな心持がした。左の内腿に初めは一つであった黒子がいつとなく並んで三つになったのは決して虚誕うそでない。全くの事実である。
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
成程なるほど海中かいちう潜行せんかうするがゆゑ潜水艇せんすいてい虚僞うそではないにしても、從來じゆうらい實例じつれいでは、是等これら潜行艇せんかうてい海水かいすい壓力あつりよくめと空氣くうき缺乏けつぼうため海底かいていフヒート以下いか沈降ちんかうするものはまれ
誰も平気にうそをつく。然し看板かんばんを出した慾張り屋の与右衛門さんは、詐を云わぬ、いかさまをせぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その時は一篇五十円くらい取ってやるんだと、私達は無名の友人の間でうそぶいていた。
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
うそ、狐、狸、狗、鹿、鯨、また殊に膃肭獣おっとせいのタケリ、すなわち牡具ぼぐ明礬みょうばんで煮固めて防腐し乾したのを売るを別段不思議と思わず。
雨戸の隙を潜ってうそ寒く障子を染めた曉の光の中に、石油だけは流石に凍らぬと見えて、しんを細めて置いた吊洋燈つるしランプ昨夜よべの儘にうつすりとともつて居たが、茶を注いで飮まずに置いた茶碗が二つに割れて
菊池君 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
川地のまなこはキラリ輝けり「ぢや、吾妻、今日こんにちまで報告した彼奴きやつの秘密は、虚事うそだと云ふのか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「それが、貴方にあるたった一つの障害なのじゃ。歪んだ空想のために、常軌を逸しとるのです。わし虚妄うそ烽火のろしには驚かんて」
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
しかし僕は、指一本動かさせただけで、また詩文の字句一つで発掘を行い、それから、詩句で虚妄うそを作らせまでして、犯人の心像をあばき出したのだ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
荒「高利貸アイスと云ふのはどうもうそぢやらう。全く余り多くの涙を有つてをる。惜い事をした、得難い才子ぢやつたものね。あれが今居らうなら……」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
お前さんの云ふことは皆うそだ。その手で雅之をだましたのだらう。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
小遣いにせよと言われたその紙入れを握ッている自分の手は、虚情うそでない証拠をつかんでいるのだ。どうしてこんなことになッたのか。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
嬉しい中に危ぶまれるような気がして、虚情うそ実情まことか虚実のさかいに迷いながら吉里の顔を見ると、どう見ても以前の吉里に見えぬ。眼の中に実情まごころが見えるようで、どうしても虚情うそとは思われぬ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
新聞なるものゝ平気にうそをつく事をまだよく知らぬ人達の間には大分影響えいきょうしたと見え、見舞やら問合せの手紙はがきなどいくらか来て、余は自身で自身の正気を保証ほしょうす可く余儀なくされた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
東京近在で展望無双と云わるゝもうそではなかった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
一 偽言うそは一切いうべからず
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
当局に於いては虚心平気で実地の真情をつぶさに調査報告し、改良すべき点ありと認むれば、飽迄あくまでも之が改善を命ずるのである、腹蔵なく述るがよい、世評が嘘伝うそであって欲しいと思うと述べた。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
「あるいはそうであろうかにも思いましたよ。では、ただ村のものがい加減な百物語。その実、嘘説うそなのでございますので?」
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
皆遣る。遣ればもう遣るものが無くなる。無くなれば慈善もしなくつても善い。罪は社会にあるのだ。うその乞食でも僕はかまはぬ。金をやる
もうして竜神りゅうじんさんの物語ものがたりにぎりつぶせば、わたくしとして虚欺うそ通信つうしんおくることになり、それもがとがめてなりませぬ。
どうも虚譚うそらしいが、これにやや似て実際今もあるはブラジルのカンジル魚だ。長わずか三厘三毛ほどでいと小便のにおいを好み、川に浴する人の尿道に登り入りて後、頬のとげを起すから引き出し得ず。
胸算用むねさんよう、巻二の二、訛言うそただは聞かぬ宿)
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
女中じょちゅうに対しても同じです。余計よけいなお饒舌しゃべり譃言うそう時には口では云わずになるたけきつい顔して無言のいましめをしてやります。
彼は冒険好奇の人なり、そのみずから品題するや曰く、「吾が性は迂疎うそ堅僻けんぺきにして、世事において通暁する所なし。独り身を以て物に先んじ、以て艱を犯し険をおかすを知るのみ」
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
なんでも蝋でうその形を拵らえて、それに彩色をほどこして、非常にいい値で売ったのである。
むらかゝると、降積ふりつもつた大竹藪おほたけやぶ弓形ゆみなりあつしたので、眞白まつしろ隧道トンネルくゞときすゞめが、ばら/\と千鳥ちどり兩方りやうはう飛交とびかはして小蓑こみのみだつばさに、あゐ萌黄もえぎくれなゐの、おぼろ蝋燭らふそくみだれたのは、ひわ山雀やまがらうそ
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)