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嘘
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うそ
ふりがな文庫
“
嘘
(
うそ
)” の例文
もっとも当人の話では、目星をつけた家を二軒も廻って、子供が病気だから是非分けてくれと
嘘
(
うそ
)
をついて、やっと買って来たという。
立春の卵
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
力松はさう言つて
口惜
(
くや
)
しがるのです。一國らしい中年者で、田園の匂ひが全身に
溢
(
あふ
)
れるだけに、此男に
嘘
(
うそ
)
があらうとは思はれません。
銭形平次捕物控:145 蜘蛛の巣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
私はあの人のことをよく知っていますが、あなたが言われたことはまったく
嘘
(
うそ
)
です。まあ、どうもこれは言いすぎたかもしれません。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
したがって「いき」は無上の権威を
恣
(
ほしいまま
)
にし、至大の魅力を振うのである。「粋な心についたらされて、
嘘
(
うそ
)
と知りてもほんまに受けて」
「いき」の構造
(新字新仮名)
/
九鬼周造
(著)
どっと笑い
囃
(
はや
)
す観衆をちょっと
睨
(
にら
)
んで黙らせ、腹が痛い、とてれ隠しのつまらぬ
嘘
(
うそ
)
をついて家へ帰って来たが、くやしくてたまらぬ。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
▼ もっと見る
「試験なら実力です。僕は今まで成績の方は市岡君と約束があったから
嘘
(
うそ
)
ん気でした。しかし実力の方は一番勝負ですから本気です」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今まで一人で苦心をしていた時よりも侍従という仲間が一人できて、
嘘
(
うそ
)
ごとが作りやすくなっていた。あとから来たほうの手紙には
源氏物語:53 浮舟
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
ところがレヴェズさん、そうして伸子の
嘘
(
うそ
)
を訂正してゆくうちに、ふと僕は、当時あの
室
(
へや
)
に起った実相を描き出すことが出来ました。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
さて入って見ますと、彼の言葉に
嘘
(
うそ
)
はなく、いやそれどころか、多分こうしたものだろうと想像していたよりも、ずっとずっと面白い。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あれはね、
自働革砥
(
オートストロップ
)
の音だ。毎朝
髭
(
ひげ
)
を
剃
(
そ
)
るんでね、
安全髪剃
(
あんぜんかみそり
)
を
革砥
(
かわど
)
へかけて
磨
(
と
)
ぐのだよ。今でもやってる。
嘘
(
うそ
)
だと思うなら来て御覧」
変な音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
申上げても
嘘
(
うそ
)
だといっておしまいなさいましょう。(半ば
独言
(
ひとりごと
)
のように、心配らしく。)ははあ、あの
離座敷
(
はなれざしき
)
に隠れておったわい。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
さきほど見た小さな飛行機も幻想のように美しくおもえた。……やがて、その騒ぎが収まると、後は
嘘
(
うそ
)
のように明るい秋の午後だった。
死のなかの風景
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
後になって考えると、間もなく気取ったポオズの写真が届いたところを見ると、それが全部
嘘
(
うそ
)
でないにしても、真実ではなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
特に
嘘
(
うそ
)
とごまかしで固まつたマルサ・ジイと云ふ
強情
(
がうじやう
)
な子供が、どうして急に死ぬかつてことが書いてあるところをお讀みなさい。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
彼女が
嘘
(
うそ
)
を言ってることはよくわかっていたけれども、クリストフは楽譜の上に身をかがめ、問題の楽節をまぢかに見ようとした。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「
嘘
(
うそ
)
じゃないよ、松の家のかあさんに
訊
(
き
)
いてみなさい、あたしが松の家にいたときのことだからよく知ってるよ」と栄子は云った
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「私はやせっぽちで、毛は黒くて短いし、眼は緑色だし、ちっとも綺麗なんかじゃないのに、あの方は
嘘
(
うそ
)
ばっかしいっている。」
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
俺に
嘘
(
うそ
)
を言わなくてもいい。——嘘をついたって、決して悪いとは限らねえさ。併し、
将来
(
さき
)
の見透せねえ嘘じゃいけねえんだよ。
熊の出る開墾地
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
青年は
愕然
(
がくぜん
)
として、
嘘
(
うそ
)
ではないか、
騙
(
かた
)
りではないかと疑い、ほとんどわれを忘れて、まるで気でも違ったようになってしまった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
かつら いえ、いえ、
嘘
(
うそ
)
いつわりではござりませぬ。面はたしかに出来しておりまする。これ、父様。もうこの上は是非がござんすまい。
修禅寺物語
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
或る近所の自警団では大杉を目茶苦茶に
殴
(
なぐ
)
ってやれという密々の相談があるとか、
嘘
(
うそ
)
か
実
(
まこと
)
か知らぬがそういう不穏の沙汰を度々耳にした。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
弓馬
(
きゅうば
)
の
道
(
みち
)
に
身
(
み
)
を
入
(
い
)
れる、
武張
(
ぶば
)
った
人
(
ひと
)
ではございましたが、八十
人力
(
にんりき
)
などというのは
嘘
(
うそ
)
でございます。
気立
(
きだ
)
ても
存外
(
ぞんがい
)
優
(
や
)
さしかった
人
(
ひと
)
で……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お母さんは、僕にまであの男を天才だと思わせたいんでしょうが、僕は
嘘
(
うそ
)
がつけないもんで失礼——あいつの作品にゃ
虫酸
(
むしず
)
が走りますよ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
たとい英雄でなくっても、その女に真心があるか、彼女の言葉が
嘘
(
うそ
)
かほんとかぐらいなことは、用心すれば洞察出来る
筈
(
はず
)
である。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
十九年前蘇武に従って
胡地
(
こち
)
に来た
常恵
(
じょうけい
)
という者が漢使に
遭
(
あ
)
って蘇武の生存を知らせ、この
嘘
(
うそ
)
をもって
武
(
ぶ
)
を
救出
(
すくいだ
)
すように教えたのであった。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
嘘
(
うそ
)
もけれんもないところ、お千絵様はあなたにしんから
惚
(
ほ
)
れています。顔だけ見せてあげただけでも、どんなにお
欣
(
よろこ
)
びかもしれませんぜ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「残念なことをした。
其
(
そ
)
の山伏をよんで来たなら、民部大輔の、今言つた其の
嘘
(
うそ
)
を、もつと、小くしてやるやうに、祈らせる筈だつたが。」
岩を小くする
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
同一の問題に真理が二つあり、一方を真理とすれば他の方が怪しく崩れ、二つを同時に真理とすれば、同時に二つが
嘘
(
うそ
)
となる。
微笑
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
トラ——恐ろしい名だな、おとなしい犬だと小父さんはいったが
嘘
(
うそ
)
だろう、と木之助は思いながら立派な広い入口をはいった。
最後の胡弓弾き
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
『全くほんとの事なんであなた、神様もご照覧あれ。全くもって、全くもって、
嘘
(
うそ
)
なら命でも首でも。わたしはどこまでも言い張ります。』
糸くず
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
なんだと! へん、食いものの方がいいって! てめえたち、ここへ来てまでシャバにいた時みてえに
嘘
(
うそ
)
ばっかりつきやがる。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
嘘
(
うそ
)
にも縁談のことは若い人の
血汐
(
ちしお
)
を
躍
(
おど
)
らせねばならぬものであります。けれどもお銀様にあっては必ずしもそうでありません。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
君は恥知らずだ! 君は
嘘
(
うそ
)
つきで、中傷家で、悪党だ! 君はあの人に罪を着せるためにやってきて、かえってあの人を公明なものにした。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「まあ! 青木さんを連れて行くって。
嘘
(
うそ
)
ばっかり。青木さんなんか、まだ兄さんの
忌
(
いみ
)
も明けていない位じゃありませんか。」
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
さう云ふ私に、
鬱
(
ふさ
)
いでゐるから酒でも飲めと、無理にも勧めてくれるその深切は、枯木に花が咲くやうな心持が、いえ、
嘘
(
うそ
)
でも何でも無い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
江の島か鎌倉へゆくと、近所知己からお留守見舞というものをくれて帰ってくるとあの子は洋行をして来た——
嘘
(
うそ
)
ではない。
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
斯
(
こ
)
う
云
(
い
)
われても
嘘
(
うそ
)
とは云いません。しかし家の
内
(
なか
)
では実に私は一平の
召使
(
めしつかい
)
のような働きをする時がいくらもあるのですから。
家庭愛増進術:――型でなしに
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
してみると、桝本が署長の訊問に答えて、今朝ちょっと工場へ出てみましたが来ていたようでしたと言った言葉は
嘘
(
うそ
)
になる。
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
が、
憐憫
(
れんびん
)
とか同情とかは一度も感じたことはなかった。もし感じたと云うものがあれば、
莫迦
(
ばか
)
か
嘘
(
うそ
)
つきかだとも信じていた。
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『少し風邪を引いて二日ばかり休みました』と自ら欺き人をごまかすことのできざる性分のくせに
嘘
(
うそ
)
をつけば、人々疑わず
置土産
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
両親もとうとう思案に余って、とにかくそれでは娘にこの書物を読まして一通り聞いた上で、
本当
(
ほんと
)
か
嘘
(
うそ
)
か考えてみようという事に
定
(
き
)
めました。
白髪小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
そんな
嘘
(
うそ
)
を言って隠し立てをしているこちらの腹の中を見透かされると、柳沢の平生の性質から一層
嵩
(
かさ
)
にかかって逆に出られると思ったから
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
皆が彼
等
(
ら
)
のまわりへ
環
(
わ
)
になった。彼等は代る代るに、顔を
赧
(
あか
)
らめて、
嘘
(
うそ
)
を半分まぜながら、その匿名の少女のことを話した。
麦藁帽子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「なんだ。君のような
壮
(
さか
)
んな青年が六時半に朝飯を食って、
午
(
ひる
)
が来たのに食べたくないということがあるものか。
嘘
(
うそ
)
だろう」
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
出したおぼえはないといっているのです。
嘘
(
うそ
)
ではなさそうです。するといよいよこれは、どうも、ただごとではありませんよ
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
無論長吉は何とでも
容易
(
たやす
)
くいい
紛
(
まぎ
)
らすことは出来ると思うものの、それだけの
嘘
(
うそ
)
をつく良心の苦痛に
逢
(
あ
)
うのが
厭
(
いや
)
でならない。
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
そんなら、どうして
嘘
(
うそ
)
を
吐
(
つ
)
くんだい。お父さんを困らせようと思ってだろう。ラッパが好きなら、ピストルが好きだなんていうもんじゃない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
あの医者の所へ尋ねて行って、
嘘
(
うそ
)
の限りを尽して、とうとう本当の事を言わせてしまった。あの日は実に
咀
(
のろ
)
うべき日である。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
辰めが一生はあなたにと熱き涙
吾
(
わが
)
衣物
(
きもの
)
を
透
(
とお
)
せしは、そもや、
嘘
(
うそ
)
なるべきか、新聞こそ
当
(
あて
)
にならぬ者なれ、
其
(
それ
)
を
真
(
まこと
)
にして
信
(
まこと
)
ある女房を疑いしは
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「おい柳! どうしたというんだ、ぼくがきみの妹を? きみ! きみ! それは
嘘
(
うそ
)
だ、とんでもないことだ、きみ、誤解しちゃいけないよ」
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
“嘘”の意味
《名詞》
(息を) ふく
(日本語のみの用法) うそ
(出典:Wiktionary)
“嘘”の解説
嘘(うそ)は事実ではないこと。人間をだますために言う、事実とは異なる言葉。偽りとも。
「嘘」は拡張新字体であり、印刷標準字体は「噓」である。
(出典:Wikipedia)
嘘
漢検準1級
部首:⼝
14画
“嘘”を含む語句
嘘言
大嘘
嘘偽
嘘吐
吹嘘
嘘説
嘘僞
嘘八百
長嘘
嘘入
嘘吐者
嘘唏
嘘詐
嘘言癖
太息嘘
大嘘吐
生嘘
絵嘘事
嘘誉
嘘字盡
...