祖国近し 房枝は、三等船室の丸窓に、顔をおしあてて、左へ左へと走りさる大波のうねりを、ぼんやりと、ながめていた。 波の背に、さっきまでは、入日の残光がきらきらとうつくしくかがやいていたが、今はもう空も雲も海も、鼠色の一色にぬりつぶされてしま …
著者 | 海野十三 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 小説 物語 |
初出 | 「少女倶楽部」1940(昭和15)年6月~1941(昭和16)年6月号 |
文字種別 | 新字新仮名 |
読書目安時間 | 約3時間26分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約5時間43分(300文字/分) |