“前途”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ゆくて44.1%
ぜんと25.2%
さき15.3%
むこう7.2%
ゆくさき2.7%
まえ1.8%
むかう0.9%
ゆきさき0.9%
ゆくすえ0.9%
コース0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
はたと、これに空想の前途ゆくてさえぎられて、驚いて心付こころづくと、赤楝蛇やまかがしのあとを過ぎて、はたを織る婦人おんな小家こいえも通り越していたのであった。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
たうげのぼつて、案内あんないわかれた。前途ぜんとたゞ一條ひとすぢみねたにも、しろ宇宙うちうほそふ、それさへまたりしきるゆきに、る/\、あし一歩ひとあしうづもれく。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
前途さきの見越しがつかぬから、それだけで満足の出来よう道理がない……とお国はシンミリした調子で、柄にないジミな話をし始めた。
新世帯 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ツンと横を向く、脊がきっと高くなった。ひっかなぐって、その手巾をはたとつちなげうつや否や、もすそけって、前途むこうへつかつか。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とせい/\、かたゆすぶると、ひゞきか、ふるへながら、をんな真黒まつくろかみなかに、大理石だいりせきのやうなしろかほ押据おしすえて、前途ゆくさきたゞじつみまもる。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これは無くてはなるまい。あの、火薬庫を前途まえにして目黒へ通う赤い道は、かかる秋の日も見るからに暑くるしく、並木の松が欲しそうであるから。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
つはくらい。……前途むかうさがりに、見込みこんで、勾配こうばいもつといちじるしい其處そこから、母屋おもや正面しやうめんひく縁側えんがはかべに、薄明うすあかりの掛行燈かけあんどんるばかり。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
はひつてよう……いま前途ゆきさきいたのに、道草みちぐさをするは、とがさして、燒芋屋やきいもやまへ振返ふりかへると、わたしをしへたとき見返みかへつた、のまゝに、そといて、こくり/\とぬくとさうな懷手ふところで居睡ゐねむりする。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その時かれは二十二歳であったが、郷党みな彼が前途ゆくすえの成功をぼくしてその門出かどでを祝した。
河霧 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あのS・O・S小僧が颱風たいふうや、竜巻スパウトや、暗礁リーフをこの船の前途コース招寄よびよせる魔力を持っちょる事が、合理的に証明出来るチウならタッタ今でもあの小僧を降す
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)