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前途
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むこう
ふりがな文庫
“
前途
(
むこう
)” の例文
ツンと横を向く、脊が
屹
(
きっ
)
と高くなった。
引
(
ひっ
)
かなぐって、その手巾をはたと
地
(
つち
)
に
擲
(
なげう
)
つや否や、
裳
(
もすそ
)
を
蹴
(
けっ
)
て、
前途
(
むこう
)
へつかつか。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とばかり
怯
(
おび
)
えるように差出した三世相を、ものをも言わず
引掴
(
ひッつか
)
んで、
追縋
(
おいすが
)
って跡に附くと、早や五六間
前途
(
むこう
)
へ離れた。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いや! 出来た、これなら海を
潜
(
もぐ
)
っても濡れることではない、さあ、
真直
(
まっすぐ
)
に
前途
(
むこう
)
へ駈け出せ、
曳
(
えい
)
、と言うて、板で
打
(
ぶ
)
たれたと思った、私の
臀
(
しり
)
をびたりと一つ。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と気軽に飛出し、表門の前を足早に
行懸
(
ゆきかか
)
れば、
前途
(
むこう
)
より年
少
(
わか
)
き好男子の
此方
(
こなた
)
に来懸るにはたと行逢いけり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
牡丹の花の影を、きれいな水から、すっと出て、斑蝥の前へ
行
(
ゆ
)
くと思うと、約束通り、
前途
(
むこう
)
へ
退
(
さが
)
った。人間に対すると、その挙動は
同一
(
おんなじ
)
らしい。……白鷺が再び、すっと進む。
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
ここへ来た時……
前途
(
むこう
)
山の下から、
頬被
(
ほおかぶ
)
りした脊の高い
草鞋
(
わらじ
)
ばきの
親仁
(
おやじ
)
が、柄の長い鎌を片手に、水だか酒だか、縄からげの
一升罎
(
いっしょうびん
)
をぶら下げたのが、てくりてくりと、畷を伝い
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と言って、それなり
前途
(
むこう
)
へ、蘆を分ければ、
廂
(
ひさし
)
を離れて、一人は店を
引込
(
ひっこ
)
んだ。
磯
(
いそ
)
の風
一時
(
ひとしきり
)
、
行
(
ゆ
)
くものを送って吹いて、
颯
(
さっ
)
と返って、小屋をめぐって、ざわざわと鳴って、
寂然
(
ひっそり
)
した。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若衆は
清涼剤
(
きつけ
)
を飲んだように気が変って、今まで
傍目
(
わきめ
)
も
触
(
ふ
)
らずにいました
蟇
(
ひきがえる
)
の虹を外して、フト
前途
(
むこう
)
を見る、と何と、一軒家の
門
(
かど
)
を離れた、峠の絶頂、馬場の
真中
(
まんなか
)
、
背後
(
うしろ
)
へ海のような
蒼空
(
あおぞら
)
を取廻して
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれ、あの
大崩壊
(
おおくずれ
)
の崖の
前途
(
むこう
)
へ、皆が見えなくなりました。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と聞いた時、境は早や二三間、
前途
(
むこう
)
へ出ていた。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“前途”の意味
《名詞》
前途(ぜんと)
(空間的な)これから進む道のり。
(時間的な)将来。
(出典:Wiktionary)
“前途”の解説
前途
(出典:Wikipedia)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“前途”で始まる語句
前途遼遠
前途多幸
前途遥
前途有望