前途まえ)” の例文
これは無くてはなるまい。あの、火薬庫を前途まえにして目黒へ通う赤い道は、かかる秋の日も見るからに暑くるしく、並木の松が欲しそうであるから。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
鶏は脇の処で恐しい羽ばたきをしますね、私あそのあおりで宙へ上りそうで足も地につきませんや。背後うしろの方でも、前途まえの方でも、その時分にようようワッという人声が陰にこもって聞えました。
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)