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前途
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さき
ふりがな文庫
“
前途
(
さき
)” の例文
前途
(
さき
)
の見越しがつかぬから、それだけで満足の出来よう道理がない……とお国はシンミリした調子で、柄にないジミな話をし始めた。
新世帯
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
前途
(
さき
)
はどうなっても構わない……というような、一切合財をスッカリ諦らめ切ったような、ガッカリした気持ちになってしまった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
こりゃ
仰有
(
おっしゃ
)
りそうな処、御自分の
越度
(
おちど
)
をお明かしなさりまして、路々念仏申してやろう、と
前途
(
さき
)
をお急ぎなさります飾りの無いお前様。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
した事は生れて初めてだ。荷物の重いばかりでなく、
箆棒
(
べらぼう
)
に
前途
(
さき
)
ばかり急いで、途中ろくろく休む事も出来ねえ。どこまでも
付従
(
くっつ
)
いて行ったら
生命
(
いのち
)
を
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
「そう言って頂けば私も
難有
(
ありがた
)
いんですけれど……でも、何んとか
前途
(
さき
)
の明りが見えないことには……何処まで行けばこの
事業
(
しごと
)
が物に成るものやら……」
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
なんぼ争って居たところが
前途
(
さき
)
の事が分らぬでは駄目ですから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「辰さん——道普請がある
筈
(
はず
)
だが
前途
(
さき
)
は大丈夫だろうかね。」「さあ。」「さあじゃないよ、それだと自動車は通らないぜ。」
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして何か話し合ったり、思い出したりしていると思うと、それが過去のことであったり、
前途
(
さき
)
のことであったりした。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この
昼飯
(
ひるめし
)
分は剛力に担がせて持って来たのだが、この
前途
(
さき
)
山中に迷わぬものでもないから、なるべく
食物
(
しょくもつ
)
を残しておけと、折りから通り掛かった
路傍
(
みちばた
)
に
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
漸
(
やうや
)
く煙草のむことを覚えた程の年若な準教員なぞは、まだ
前途
(
さき
)
が長いところからして楽しさうにも見えるけれど、既に老朽と言はれて髭ばかり
厳
(
いかめ
)
しく生えた手合なぞは、述懐したり
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
飯坂
(
いひざか
)
の
前途
(
さき
)
の
山
(
やま
)
からの、どん/\と
出
(
で
)
ますだで。——いゝ
磨砂
(
みがきずな
)
だの、これ。」と、
逞
(
たくま
)
しい
平手
(
ひらて
)
で、ドンと
叩
(
たゝ
)
くと、
俵
(
たはら
)
から
其
(
そ
)
の
白
(
しろ
)
い
粉
(
こ
)
が、ふツと
立
(
た
)
つ。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
前途
(
さき
)
に見込みがないから、私もうあすこを逃げてしまおうかとも思っているんです。」と、お庄は思い
断
(
き
)
って伯母や糺にも、自分の心持を打ち明けてみたが
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この
前途
(
さき
)
もう
半里
(
はんみち
)
ばかりという
処
(
ところ
)
まで来かかると、ここにも
飴
(
あめ
)
ン棒など並べて一軒茶屋。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
帳場
(
ちやうば
)
から
此處
(
こゝ
)
へ
參
(
まゐ
)
る
内
(
うち
)
も、
此
(
こ
)
の
通
(
とほ
)
りの
大汗
(
おほあせ
)
と、
四人
(
よつたり
)
の
車夫
(
しやふ
)
は
口
(
くち
)
を
揃
(
そろ
)
へ、
精一杯
(
せいいつぱい
)
、
後押
(
あとおし
)
で、お
供
(
とも
)
はいたして
見
(
み
)
まするけれども、
前途
(
さき
)
のお
請合
(
うけあひ
)
はいたされず。
雪の翼
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
雲の白さが
一団
(
ひとかたまり
)
残って、底に
幽
(
かすか
)
に
蒼空
(
あおぞら
)
の見える……
遥
(
はる
)
かに遠い所から、たとえば、ものの一里も離れた
前途
(
さき
)
から、黒雲を
背後
(
うしろ
)
に
曳
(
ひ
)
いて
襲
(
おそ
)
い来るごとく見て取られた。
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目の寄る
前途
(
さき
)
へ
行
(
ゆ
)
き抜けもせず、立寄ってくれたので、
国主
(
こくしゅ
)
に
見出
(
みいだ
)
されたほど、はじめ大喜びであったのが、
灯
(
あかり
)
が消え、犬が
吠
(
ほ
)
え、こうまた寒い風を、
欠伸
(
あくび
)
で吸うようになっても
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だって
口惜
(
くや
)
しかろう。その川
一条
(
ひとすじ
)
の
前途
(
さき
)
は、麗々と土が出て、
薄
(
うっす
)
りと霧が
這
(
は
)
って、虫の声がするんだもの。もう近いから、土手じゃ車の音はするし、……しばらく
睨
(
にら
)
み詰めて立っていた。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
前途
(
さき
)
の獅子浜、江の浦までは、大分前に通じましたが、口野からこちら……
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三
人
(
にん
)
が
根
(
ね
)
をおろしたらしく
見
(
み
)
て
取
(
と
)
ると、
坂上
(
さかがみ
)
も、
急
(
きふ
)
には
踏出
(
ふみだ
)
せさうもなく、
足
(
あし
)
が
地
(
ち
)
に
附着
(
くツつ
)
いたが、
前途
(
さき
)
を
急
(
いそ
)
ぐ
胸
(
むね
)
は、はツ/\と、
毒氣
(
どくき
)
を
掴
(
つか
)
んで
口
(
くち
)
から
吹込
(
ふきこ
)
まれさうに
躍
(
をど
)
つて、
血
(
ち
)
を
動
(
うご
)
かしては
三人の盲の話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
前途
(
さき
)
は直ぐに阿部の安東村になる——
近来
(
ちかごろ
)
評判のAB横町へ入ると、前庭に古びた黒塀を
廻
(
めぐ
)
らした、平屋の行詰った、それでも一軒立ちの
門構
(
もんがまえ
)
、低く傾いたのに、独語教授、と看板だけ新しい。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ついこの
前途
(
さき
)
をたらたらと上りました、道で申せばまず峠のような処に
観世物
(
みせもの
)
の小屋がけになって、やっぱり
紅白粉
(
べにおしろい
)
をつけましたのが、
三味線
(
さみせん
)
でお
鳥目
(
ちょうもく
)
を受けるのでござります、それよりは旦那様
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“前途”の意味
《名詞》
前途(ぜんと)
(空間的な)これから進む道のり。
(時間的な)将来。
(出典:Wiktionary)
“前途”の解説
前途
(出典:Wikipedia)
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“前途”で始まる語句
前途遼遠
前途多幸
前途遥
前途有望