“いつはり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
34.9%
18.6%
虚僞9.3%
虚偽7.0%
4.7%
五張4.7%
虚妄4.7%
偽飾2.3%
僞言2.3%
2.3%
2.3%
虚言2.3%
2.3%
譎詐2.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分の真実の血で、彼女のいつはりの贈物を、真赤に染めてやるのだ。そして、彼女の僅に残つてゐる良心を、はづかしめてやるのだ。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
かの事ありしよりこの方、あらびいつはりをもてかすむることをなし、後あがなひのためにポンティ、ノルマンディア及びグアスコニアを取れり 六四—六六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
まへこゝろ虚僞いつはりがなく、まこと夫婦めをとにならうなら、明日あす才覺さいかくして使者つかひをばげませうほどに、何日いつ何處どこしきぐるといふ返辭へんじをしてくだされ、すれば、一しゃう運命うんめいをばおまへ足下あしもと抛出なげだして
自分は其を隠蔽かくさう隠蔽さうとして、持つて生れた自然の性質を銷磨すりへらして居たのだ。其為に一時いつときも自分を忘れることが出来なかつたのだ。思へば今迄の生涯は虚偽いつはりの生涯であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
さりとて外の乞兒の如く憐を乞ふにもあらず。唯だおのが前を過ぐる人あるごとに、いつはりありげにおもてをしかめて「ボン、ジヨオルノオ」(我俗の今日はといふ如し)と呼べり。
五張いつはり六張むはりの蚊帳を積んだ車の上に私等の兄弟は載せられます。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
嗚呼我人とも終には如是かく、男女美醜のわかちも無く同じ色にと霜枯れんに、何の翡翠の髪のさま、花の笑ひのかんばせか有らん。まして夢を彩る五欲の歓楽たのしみ、幻を織る四季の遊娯あそび、いづれか虚妄いつはりならざらん。
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
草履脱いでのつそりと三畳台目の茶室に入りこみ、鼻突合はすまで上人に近づき坐りて黙〻と一礼する態は、礼儀にならはねど充分に偽飾いつはりなきこゝろ真実まことをあらはし
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
根が態とせし偽飾いつはりなれば却つて笑ひの尻声が憂愁うれひの響きを遺して去る光景ありさまの悲しげなるところへ、十兵衞殿お宅か、と押柄あふへいに大人びた口きゝながら這入り来る小坊主、高慢にちよこんと上り込み
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
私しの宅へわすれ置き候などとは道十郎が僞言いつはり決して右樣の事是なく候右は長庵につみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
返へし奉つるに候へ共私存じ仕候樣に申上しは僞言いつはりにて實は伊豆守よりの内意ないいを受候に相違御座なく候と申上げるに綱條卿つなえだきやうの御意に越前たいしてことばを返へし候段はわすれて遣すとの御意ぎよいなりしか
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いつはりの幸福を追へば
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ねがはくは其事のいつはり妄にてあれかしと日比ひごろ念じまゐらせし甲斐も無う、さては真に猶此裟婆界しやばかいに妄執をとゞめ、かの兜卒天とそつてんに浄楽は得ず御坐おはしますや、いぶかしくも御意みこゝろばかり何に留まるらん
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
既にその高品の心なる事を示し、追ひ払はれたる後に後悔の言葉、または末段の「虚言いつはりを云ふまじと、毎朝まいてう天道氏神を祈りしかども、若き者の悲しさは、只今非業にしなんとは思ひも寄らず」
「歌念仏」を読みて (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
満枝は、彼のことばの決していつはりならざるべきを信じたり。彼の偏屈なる、にさるべき所見かんがへを懐けるも怪むには足らずと思へるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
地獄ぢごく夜叉やしゃ肉體からだには何者なにものませうとや? あんな内容なかみにあのやうな表紙へうしけたほんがあらうか? あんな華麗りっぱ宮殿きゅうでん虚僞うそ譎詐いつはりすまはうとは!