“にせ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ニセ
語句割合
43.3%
37.2%
9.1%
二世6.1%
贋造1.8%
0.6%
似而非0.6%
0.6%
0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「その時、貴公は、小次郎殿の名をかたり、にせ小次郎となって、所々、徘徊はいかいしておられたのを、拙者はまことの佐々木小次郎殿と信じ……」
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私はこのにせのユアンに見送られて車に乗ったのであったが、似ているとか似ていないとか、そんなことは言うだけ愚かなことであった。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
編者未だ識別しきべつすることあたざれどもしはたしてしんならしめば吉宗よしむねぬしが賢明けんめいなるは言計いふばかりもなくにせにせとして其のあくあばかんすきぞくめつするは之奉行職の本分ほんぶんなれば僞者にせものの天一坊を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
二世にせちぎりとおきてにさえ出ている夫は、二重にも三重にも可愛がってくれるだろう、また可愛がって下さるよと受合われて、住み馴れたいえを今日限りと出た。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
富岡鉄斎の画を持合せてゐる男が鉄斎の画には随分贋造にせが多いと聞いて、鑑定書かんていがきを添へて置いたら、売物に出す時に便利だらうと思つて、子息むすこの謙蔵さんのもとにそれを持ち込んだ事があつた。
付込にせ役人と相成三吉小猿を目明めあかしとなし私儀は御役人のていにて夫婦を召捕めしとり金子三十七兩を出させ其場を見遁みのがし申候其後十二月初旬はじめ手下てしたの者を原澤村の名主方迄つかはし樣子やうす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
流し大岡殿の仁心じんしんを感じけり又大岡殿には其中ににせ役人をせし盜賊たうぞくを吟味せんと所々探索たんさくを申付られけり扨又彼の雲切仁左衞門肥前の小猿こざる向ふ見ずの三吉の三人はにせ役人となりて原澤村の名主なぬし始めを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
白根の山ふところの奈良田の温泉で、似而非にせの役人を一槍の下に縫いつけたのは、さのみ恨みの残るべきことではありません。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
落語家万事、にせ紫、江戸紫、古代紫、紫、紫、むらさきのこと——芸の落ちゆく最後のお城、御本丸は、ついに「紫」以外の何物でもない、ないのだ。
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
侍女二 錦襴きんらんの服を着けて、青い頭巾ずきんかぶりました、立派な玉商人たまあきんどの売りますものも、にせが多いそうにございます。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)