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小猿
と竹童はその手紙を、一
匹の
小猿にくわえさせて、
鞭で僧正谷の
方角をさすと、
猿は心得たようにいっさんにとんでいく。そのあとで
すると
他の
小猿が「おれの
父様はもつと
豪いや、
鬼ヶ
島を
征伐にいつたんだもの」「うそだあ、ありや
昔の
事ぢやないか」
以て
救ひ給はれと申ければ
小猿は暫く考へ
然らば雲切仁左衞門方へも
行て頼み見られよと言けるに三吉其事も
思はぬにはなけれ共
當時仁左衞門は
何所に居るや一
向行方を
切けるに
不思議や
鼬の如き獸二ツになつて
落けるゆゑ人々大いに驚き是より雲切仁左衞門と
渾名せり今一人は手下にて肥前の
小猿といふ者
又一人は同く肥前長崎
在方村と云ふ所の
出生向ふ見ずの三吉と云者なり扨て文藏夫婦は此茶屋にて
拔道の樣子を