“いつわり”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
53.0%
虚偽15.2%
6.1%
詐偽3.0%
3.0%
虚言3.0%
虚誕1.5%
偽飾1.5%
嘘言1.5%
1.5%
1.5%
虚妄1.5%
詐欺1.5%
詐術1.5%
詐言1.5%
1.5%
1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
公子 決していつわりは申しませぬ。紫の袍を着て桂の冠をかむり、銀の竪琴を持っている騎士姿の音楽家なら間違いなく母のかたきでござります。
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
まづおのれからその道にそむきて、君をほろぼし、国を奪へるものにしあれば、みな虚偽いつわりにて、まことはよき人にあらず、いとも/\しき人なりけり。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
いつわりをする神だとお思いになつて、お琴を押し退けてお彈きにならず默つておいでになりました。
イエスは彼らの詐偽いつわりをただちにみやぶって
澄江の慧眼は玄二郎の心に無神論を読み破つたとも受けとれるが、また、彼女の言葉にいつわりはないのであつて、神に変形したノスタルヂイを彼の心に見たのかも知れない。
姦淫に寄す (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
なんじらが知る所は我もこれを知る、我は汝らに劣らず、しかりといえども我は全能者に物言わん、我は神と論ぜんことを望む。汝らはただ虚言いつわりを造り設くる者、汝らは皆無用の医師なり。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
黒衣こくえ棲居すみかを立出でしが、かれが言葉を虚誕いつわりなりとは、月にきらめく路傍みちのべの、露ほども暁得さとらねば、ただ嬉しさに堪えがたく
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
金眸はおおいに怒り、「さては黒衣が虚誕いつわりなりしか。さばれ何ほどの事かあらん」ト、いひつつ、鷲郎を払ひのけ、黄金丸につかみかかるを、ひっぱづして肩をめば。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
草履脱いでのっそりと三畳台目の茶室に入りこみ、鼻突き合わすまで上人に近づき坐りて黙々と一礼するさまは、礼儀にならわねど充分に偽飾いつわりなきこころ真実まことをあらわし
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
根がわざとせし偽飾いつわりなればかえって笑いの尻声が憂愁うれいの響きを遺して去る光景ありさまの悲しげなるところへ、十兵衛殿お宅か、と押柄おうへいに大人びた口ききながらはいり来る小坊主、高慢にちょこんと上り込み
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
鐘を鳴らせた人物を確認させようとする嘘言いつわりだったので、それを僕の余計な神経が、つい複雑にしてしまったのです。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
いや、それよりも二人の愛は、どちらが本当の愛なのだろう。野村の愛が幻か。大井の愛が利己心か。それとも両方がそれぞれの意味で、やはりいつわりのない愛だろうか。
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
冥途めいど飛脚ひきゃく」の中で、竹本の浄瑠璃じょうるりうたう、あの傾城けいせいに真実なしと世の人の申せどもそれは皆僻言ひがごと、わけ知らずの言葉ぞや、……とかく恋路にはいつわりもなし、誠もなし
霜凍る宵 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
東の出口と西の入口と相隔たること窟の外にてもおよそ一町ほどなれば、窟の中二町余りというも虚妄いつわりにあらじと肯わる。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
冷たい私の知恵は私の耳にささやいて、恋ではない、恋ではないとわれとわが心を欺いてわずかに良心の呵責かしゃくを免れていたが、今宵この月の光を浴びて来し方の詐欺いつわりに思い至ると
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
蔡和、蔡仲の降参は、あきらかに詐術いつわりです。なんとなれば、妻子は江北に残しておる。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにも呂布は暗愚で粗暴の大将にちがいない。しかし彼には汝よりも多分に善性がある。正直さがある。すくなくも、汝のごとく、酷薄こくはく詐言いつわりが多く、自己の才謀に慢じて、遂には、上を
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いつわりの謀と云う面倒なので我慢しなくては。
「おれは悠二郎を片腕に頼むつもりでいた、それにはいささかもいつわりはなかった」
桑の木物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)