虚偽いつはり)” の例文
「見ぬ方がかへつてよかつた。もしか人にきかれたらつひぞ見たこともない、世にも不思議な霊草ぢやといつておかう。どんな虚偽いつはりにしても平凡よりはましだから。」
自分は其を隠蔽かくさう隠蔽さうとして、持つて生れた自然の性質を銷磨すりへらして居たのだ。其為に一時いつときも自分を忘れることが出来なかつたのだ。思へば今迄の生涯は虚偽いつはりの生涯であつた。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
人のまことも虚偽いつはり
我が愛する詩人の伝記 (新字新仮名) / 室生犀星(著)