うそ)” の例文
「これで、ますます兄さんのうそが知れるのですよ。もし、自分で心にじることがなくて、だれが二つに分けたものをまた人にやるものですか。」
珊瑚 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
誰も平気にうそをつく。然し看板かんばんを出した慾張り屋の与右衛門さんは、詐を云わぬ、いかさまをせぬ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
然し与右衛門さんは強慾ごうよくであるかわり、彼はうそを云わぬ。詐は貨幣かね同様どうよう天下のとおり物である。都でも、田舎でも、皆それ/″\に詐をつく。多くの商売は詐にかれた蜃気楼しんきろうと云ってもよい。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)