虚情うそ)” の例文
小遣いにせよと言われたその紙入れを握ッている自分の手は、虚情うそでない証拠をつかんでいるのだ。どうしてこんなことになッたのか。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
嬉しい中に危ぶまれるような気がして、虚情うそ実情まことか虚実のさかいに迷いながら吉里の顔を見ると、どう見ても以前の吉里に見えぬ。眼の中に実情まごころが見えるようで、どうしても虚情うそとは思われぬ。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)