“そら”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ソラ
語句割合
66.0%
11.0%
4.4%
4.2%
3.4%
2.1%
1.6%
虚空1.0%
0.8%
曾良0.7%
天空0.5%
太空0.3%
暗記0.3%
0.3%
0.3%
0.2%
0.2%
0.2%
蒼穹0.2%
0.1%
中空0.1%
天中0.1%
天外0.1%
天気0.1%
天矢0.1%
天色0.1%
暗誦0.1%
杳冥0.1%
気圏0.1%
0.1%
碧空0.1%
聖天0.1%
0.1%
蒼天0.1%
蒼空0.1%
0.1%
諳記0.1%
0.1%
0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『朝日新聞』にて『そらだき』をお書きなすってから、作風も筆つきも殊更ことさらに調ってきて、『空だき』の続稿の出るのがまたれました。
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
それより奥の方、甲斐境かいざかい信濃境の高き嶺々重なりそびえてそらの末をば限りたるは、雁坂十文字かりさかじゅうもんじなど名さえすさまじく呼ぶものなるべし。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「ふむ、余り殺生が過ぎたから、ここん処精進よ。」と戸外おもての方へ目をそらす。狭い町を一杯に、昼帰ひるがえりを乗せてがらがらがら。
註文帳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
彼はしばらくプログラムの表面を見ていたが、今の「木製の人形」に出ている十人のレビュー・ガールの名前を胸のうちにそらんじた。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
はづかしげにおもてあからむる常の樣子と打つて變りし、さてもすげなき捨言葉すてことばに、冷泉いぶかしくは思へども、流石さすが巧者しれもの、氣をそらさず
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
講義になるとすると、私の講義はそらではやらない、云う事はことごとく文章にして、教場でそれをのべつに話す方針であります。
文芸の哲学的基礎 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今度は、それが実に明白であるように私にも思われたので、彼がどうして彼等の怒りをそらせられるか私には想像がつかなかった。
十時を過ぎた頃、一呼吸ひといきかせて、もの音は静まったが、裾を捲いて、雷神はたたがみを乗せながら、赤黒あかぐろに黄を交えた雲が虚空そらへ、舞い舞いあがって、昇る気勢けはいに、雨が、さあと小止おやみになる。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この調子で行くと御経おきょうの文句は、ぼん音とか漢音とか、なるべく解らぬようにそらんじた方がもっともらしく聞えていい。
「露やふる蜘蛛の巣ゆがむ軒の月」という曾良そらの句は、同じ元禄時代の作だけれども、この句に比すれば繊巧な点において遥にまさっている。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
今請う獣に問え、さればなんじに教えん、天空そらの鳥に問え、さらば汝に語らん、地に言え、さらば汝に教えん、海の魚もまた汝に述ぶべし。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
太空そらは一片の雲も宿とどめないが黒味わたッて、廿四日の月は未だのぼらず、霊あるが如き星のきらめきは、仰げば身もしまるほどである。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
……徒党を組んでの、押し借り強請ゆすりの薬が利きすぎ、とうとう幕府おかみから、お触れ書きさえ出されましたっけねえ。あっしゃア、暗記そらで覚えておりやす。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
其處そこよりたして、當藝たぎの上に到ります時に、詔りたまはくは、「吾が心、恆はそらかけり行かむと念ひつるを、今吾が足え歩かず、たぎたぎしくなりぬ」
薫赫くんかくの氣は先づ面をてり。ヱズヰオの嶺は炎焔そらを摩し、爆發の光遠く四境を照せり。涼を願ふ煩心わづらひごゝろは、我をりてモロの船橋を下り、汀灣みぎはに出でしめたり。我は身を波打際にはたとたふしつ。
あたかもよしよこざまにがけでて、らぬはなきたる、えだすがりつも、づぶれのまゝあがりし、うつくしきをとこなれば、これさへみづるばかり。くさをつかみ、辿たどりて、次第しだいそら攀上よぢのぼる。
妙齢 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そらつくない、正直にいってしまいな、手前てめえが鼻薬を貰って、一角に頼まれて旦那を引き出したといってしまえば、命ばかりは助けてやる、相手は一角だからかたきを打たせる積りだが、何処迄どこまでも隠せば
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「この前、春木君に渡したきぬハンカチは火に焼けて、三分の一しか残らなかったそうじゃが、わしはその文句をそらでおぼえている。ちょっとこの紙に書いてみよう」
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
松森蒼穹そらに後光を出せば
春と修羅 第三集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
常に可忌いまはしと思へる物をかく明々地あからさまに見せつけられたる貫一は、得堪えたふまじくにがりたる眉状まゆつきしてひそかに目をそらしつ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
火鉢ひばちふちに片手をかざして、何をか打案ずるさまなる目をそらしつつ荒尾は答へず。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
らぬ海鳥かいちょうかなしくいて中空そらみだれてんでいました。
黒い旗物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若草わかくさながら廣野ひろの一面いちめん渺茫べうばうとしてはてしなく、かすみけてしろ/″\と天中そらつきはさしのぼつたが、葉末はずゑかるゝわればかり、きつね提灯ちやうちんえないで
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
長官の梁中書りょうちゅうしょは、それを一読するや、顔の色を失ってしまった。気魂きこん、おののきふるえて、天外そらに飛ぶのていだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜の八時ごろ、私はいつものようにお幸のもとに参りますと、この晩はよいから天気そら模様が怪しかったのが十時ごろには降りだして参りました。
女難 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
が、たつた一つ、わら屋根の頂點に、何處から飛んで來たか、蟲喰ひの稽古矢が一本、天矢そらが落ちて來た恰好に、箆深のぶかく突つ立つて居るだけ。
やがてはるか能生のうを認めたるあたりにて、天色そらにわかに一変せり。——おかはなはだ黒く、沖は真白に。と見る間に血のごとき色はと流れたり。日はまさに入らんとせるなり。
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その祖母なる人はものの記憶よかりし人にて「八犬傳」など芳柳閣の邊迄暗誦そらんじ居て、求むれば何時も高らかにして聞かせ給ひぬ。「平家物語」の幾章も亦かくしてわれは聞き覺えしなり。
遠く四八唐土もろこしにわたり給ひ、あの国にて四九でさせ給ふ事おはして、此の五〇のとどまる所、我が道をぐる霊地れいちなりとて、杳冥そらにむかひてげさせ給ふが、五一はた此の山にとどまりぬる。
鳥も棲まはぬ気圏そらまでも颶風ぐふうによつて投げられたらば
がしゃんと、食事しょくじそらをその上に、音をたててなげだした。
碧空そらの反射のなかにして、 うつつにめぐる鑿ぐるま。
文語詩稿 一百篇 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
燦爛さんらんとして聖天そら
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
坂口とビアトレスはフト目を見合せたが、二人は窓の外に眼をそらしてしまった。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
ああ、けふばかりは蒼天そらも自分にふさはしく
木々の芽のしづかなるかな蒼空そらの音
天の狼 (新字旧仮名) / 富沢赤黄男(著)
愛欲之中アイヨクシチユウ。……窈窈冥冥ヤウヤウミヤウミヤウ別離久長ベチリクチヤウつて學舍でG師に教はつて切れ/″\にそらんじてゐる經文が聞えると、心の騷擾さうぜう彌増いやました。
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
太平記を拾いよみに諳記そらでやるくらい話がおもしろい爺様じいさまだから、日が暮れるまで坐り込んで、提灯ちょうちんを借りて帰ることなんぞあった馴染なじみだから、ここへ寄った。
縁結び (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
だから吾儕われ/\も頭を痛めて居るのさ。まあ、聞き給へ。ある人は又た斯ういふことを言出した。瀬川君に穢多の話を持掛けると、必ず話頭はなしわきそらして了ふ。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
眠つてる、草ン中に倒れてゐるんだそらもと