“そむ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ソム
語句割合
43.0%
28.5%
9.2%
4.7%
外向3.5%
反向3.3%
背向3.1%
1.9%
0.4%
0.4%
0.3%
背反0.3%
傍向0.1%
反背0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
0.1%
素向0.1%
0.1%
負向0.1%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
く紅葉の政治的才幹が硯友社を結束し、美妙が忽ちそむいて孤立したのが二者の成功を著るしく懸隔さした一つの原因であった。
あなたの云いつけはそむくまいという努力が原初的な形であるので、それによってフーフー云ってやって、さて成程とわかる式ですね。
どうしてこんなお方にそむいたろうかと、身のほどがそら怖ろしくなるのだった。慚愧ざんきにうたれて、詫び入ることばも見つからなかった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いやしくも歴史家たる身分にそむかないやうに、公平無私にその話をするだらうと云ふことには、恐らくは誰一人疑をさしはさむものはあるまい。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
二人とも、灯がつくと涙の顔を外向そむけた。八郎太は、二人の娘の顔をちらっと見たが、平素のように、何を泣く、と叱らなかった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
少し顔を反向そむけている娘をみて、鷲尾は思わすジロジロとみつめた。福々しい幼顔おさながおはどこにも残って居らず、骨太にすくすくとのびた娘だった。
冬枯れ (新字新仮名) / 徳永直(著)
心ありそうに、そうすると直ぐに身を引いたのが、隔ての葭簀よしずの陰になって、顔を背向そむけもしないで、其処そこ向直むきなおってこっちを見ました。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
もし官符遅く発し、朝使緩く行かしめば、時善・公廉皆魚肉とならんなり。若し禁慾の制なくんば、恐らくは防衛の方にそむかん。
この時節より通ひそむるは浮かれ浮かるる遊客ゆふかくならで、身にしみじみと実のあるお方のよし、遊女つとめあがりの去るひとが申き
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひなたもとそむるはるかぜ 羽紅うこう
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
曰ふ、しやうはたるは、氣盛なる者之を能くす、而かも眞勇しんゆうに非ざるなり。孤城こじやうえんなきに守り、せん主を衆そむくにたもつ、律義者りちぎものに非ざれば能はず、故に眞勇は必ず律義者りちぎものに出づと。
かほ背反そむくるを、銀子は声低くめて「其方が篠田様であつたんでせう」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
余の叔父は見るに忍びぬと云う様で顔を傍向そむけた、高輪田も熱心に探偵に向って何事をか云って居る、探偵は更に余の叔父に振り向いた、叔父と探偵との間に暫く相談が始まった様に見える。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
顔を傍向そむけて徒らに目を白黒した。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
……と思う間もなく私の方に身体を反背そむけつつ、全身をゆすり上げて、姿に似合わない小さな、弱々しい咳嗽せきを続けた。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あの晩石郷氏が帰ってから直ぐ、智恵子はもう一度、糸子のへやを訪ねると、糸子は美人像の短銃ピストルに背中をそむけたまま、卓子テーブルに顔を埋めて泣いて居たのだ。
踊る美人像 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「それどころか、私は、易介さんがこの具足の中にいたのも存じておりますので。それから、死んでいるという事も……」と気味悪そうに死体から顔をそむけながらも、庄十郎は意外なことばを吐いた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
(三六)かうきよき、(三七)かたちそむいきほひきんずれば、すなはおのづかめにけんのみいまりやうてう相攻あひせむ。輕兵けいへい鋭卒えいそつかならそとき、(三八)老弱らうじやくうちつかれん。
かくてこそ始めて色にほこらず、その徳にそむかずとも謂ふべきなれ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ヂュリ とゝさまの命令おほせごとそむいた不孝ふかうつみくやむことをならうたところに。(膝まづきて)かうして平伏ひれふしてとゝさまのゆるしへいと、あのロレンスどのがはれました。
わたしはこんな乞食同様の人から試験を受けるのがいやさに、顔を素向そむけていると、孔乙己はわたしの返辞をしばらく待った後、はなはだ親切に説き始めた。
孔乙己 (新字新仮名) / 魯迅(著)
半次はうるさいから、顏をそむけて通るといふ鹽梅あんべえ、これぢや仲良くなりつこはありませんね
生徒の質問の中で、折り折り胸を刺れるようなのがある。中には自分の秘密を知ってあんな質問をするのではあるまいかと疑い、思わず生徒のかおを見て直ぐ我顔を負向そむけることもある。
酒中日記 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)