トップ
>
負
>
そむ
ふりがな文庫
“
負
(
そむ
)” の例文
鶴千代丸は信長一鉄の鑑識に
負
(
そむ
)
かなかった。十四歳の八月の事である。信長が伊勢の国司の北畠と戦った時、鶴千代丸は初陣をした。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
苟
(
いやしく
)
も歴史家たる身分に
負
(
そむ
)
かないやうに、公平無私にその話をするだらうと云ふことには、恐らくは誰一人疑を
挾
(
さしはさ
)
むものはあるまい。
十三時
(新字旧仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
序
(
ついで
)
にわたくしは此「秋行」の絶句の本草家蘭軒の詩たるに
負
(
そむ
)
かぬことを附記して置く。それは
石蒜
(
せきさん
)
が珍らしく詩に入つてゐることである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
景は女が約束に
負
(
そむ
)
いて他の家へ
適
(
い
)
ったのを知って
憤
(
いきどお
)
りで胸の中が一ぱいになった。彼は大声をあげて叫ぶようにいった。
阿霞
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
その約に
負
(
そむ
)
かざらんことを
虞
(
おそ
)
るる者と、恩中に恩を顧みざる者とは、おのおのその務むべきところを務むるに
専
(
もっぱら
)
なりき。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
君がためにはわれ
亞弗利加
(
アフリカ
)
の侯伯に
負
(
そむ
)
きぬ。君がために恥を忘れ、君がために操を破りたるわれは、トロアスに向けて一
隻
(
せき
)
の舟をだに出さゞりき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
しかしながらこれを親子
喧嘩
(
げんか
)
と思うと女丈夫の本意に
負
(
そむ
)
く。どうしてどうして親子喧嘩……そんな不道徳な者でない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
今少し余も心をひきしめ情を曲げて、その高嘱に
負
(
そむ
)
かぬようにし、知己の感に
酬
(
むく
)
ゆべきであったろう。
子規居士と余
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
君の
情人
(
いろ
)
は君に
負
(
そむ
)
いたぢやらうが、君の
友
(
フレンド
)
は
決
(
け
)
して君に負かん
筈
(
はず
)
ぢや。その
友
(
フレンド
)
を
何為
(
なぜ
)
に君は棄てたか。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
〔評〕南洲城山に
據
(
よ
)
る。官軍
柵
(
さく
)
を
植
(
う
)
ゑて之を守る。
山縣
(
やまがた
)
中將書を南洲に寄せて兩軍
殺傷
(
さつしやう
)
の
慘
(
さん
)
を
極言
(
きよくげん
)
す。南洲其の書を見て曰ふ、我れ山縣に
負
(
そむ
)
かずと、
斷然
(
だんぜん
)
死に
就
(
つ
)
けり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
象山曰く、「語を寄す、吾が門同志の士、栄辱に
因
(
よ
)
りて初心に
負
(
そむ
)
く
勿
(
なか
)
れ」と、松陰答えて曰く、「
已
(
すで
)
に死生を
把
(
と
)
りて余事に附す、
寧
(
いずく
)
んぞ栄辱に因りて初心に負かんや」
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
市の中央を円く囲んだリンクと云ふ
大通
(
おほどほり
)
は建築も立派で
殊
(
こと
)
に王宮、議事堂、大学、オペラ、新古の両博物館などの集つて居る
辺
(
あたり
)
は
小巴里
(
せうパリイ
)
の称に
負
(
そむ
)
かないとも想はれた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
以来何事があっても小山さんの言う事に
負
(
そむ
)
いてはなりませんと私は散々叱られましたがその時の嬉しゅうございましたこと、モットモット叱られてもいいと思いました。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
貴方は紳士の名に背く様な卑怯な振舞いはせぬと先刻も仰有ったでは有りませんか、此の様な振舞いが何で卑怯で有りませんか、何で紳士の名に
負
(
そむ
)
きませんか、私の名を
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「余は
暫
(
しばら
)
くここに親愛なる諸君と訣別す。諸君もし他日余にこの事業を委託することあらば、余は諸君の嘱望に
負
(
そむ
)
かざる忠僕たるを誤らざるべし、ジェレミー・ベンサム」
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
宮本二郎は永久を契りし
貴嬢
(
きみ
)
千葉富子
(
ちばとみこ
)
に
負
(
そむ
)
かれ、われは十年の友宮本二郎と海陸、幾久しく別れてまたいつあうべきやを知らず、かくてこの
二人
(
ふたり
)
が楽しき春は
永久
(
とこしえ
)
にゆきたり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
行くと数日の逗留ではとても知人に接する暇もなく、むしろその厚意に
負
(
そむ
)
くからである。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
日本固有の文字を捨つるは国家的団結心に
負
(
そむ
)
く事、日本の古書及び漢書を読むには別に漢字仮名を学ばざるべからざる事、同音の字多き漢語を羅馬字にて書けば解し難き事等なり。
病牀譫語
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「われ今国の為に死す。死して君親に
負
(
そむ
)
かず。悠々たり天地の事。鑑照神明にあり」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
『書紀』二に
豊玉姫
(
とよたまひめ
)
産む時夫
彦火々出見尊
(
ひこほほでみのみこと
)
約に
負
(
そむ
)
き
覘
(
うかが
)
いたもうと豊玉姫産にあたり竜に
化
(
な
)
りあったと記されたが、異伝を挙げて〈時に豊玉姫
八尋
(
やひろ
)
の
大熊鰐
(
わに
)
に
化為
(
な
)
りて、
匍匐
(
は
)
い
逶虵
(
もごよ
)
う。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
さあれ風声鶴涙に驚きて、先生の清操を疑ふは、知遇に
負
(
そむ
)
くの罪大なりと。わざわざ小田が耳語を一笑に付し去りし一郎も。さすがに全くは忘れかね、つらつら邸内の、光景に目を注ぐに。
誰が罪
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
仰
(
あふい
)
で此の月明に対する時、伯母の慈愛に
負
(
そむ
)
きて、粟野の山を逃れる十五歳の春の
昔時
(
むかし
)
より、同じ道を
辿
(
たど
)
り行く今の我に至るまで、十有六年の
心裡
(
しんり
)
の経過、歴々浮び来つて無量の感慨
抑
(
おさ
)
ゆべくもあらず
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
既ニ衣食ノ愁アリ
塵外
(
じんがい
)
ノ超然得テ望ム可ラズ顧レバ附托ノ大任横ハツテ眼前ニ在リ進ンデ一ニ身ヲ其業ニ委スル能ハズ此ニ於テカ余ハ日夜其任務ノ尽ス能ハザルヲ
憂
(
うれ
)
ヒ其公命ニ
負
(
そむ
)
クノ大罪ヲ
惧
(
おそ
)
レ又遂ニ我素志ノ果ス可ラザルヲ想ヒ時ニ
心緒
(
しんちょ
)
乱レテ麻ノ如キモノアリ
牧野富太郎自叙伝:01 第一部 牧野富太郎自叙伝
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
或は
特
(
こと
)
に利を
啗
(
くら
)
わせて其下をして其上に
負
(
そむ
)
かせて我に
意
(
こころ
)
を寄せしめ置いて、そして表面は他の口実を以て襲って之を取るのであるし
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「ことが
諧
(
ととの
)
わなくて、再びあなたに
負
(
そむ
)
くようなことがあってはと思います。私は先ず魂を以て
報
(
むく
)
いたいと思います。」
連城
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
ト決心して見れば叔母の意見に
負
(
そむ
)
かなければならず、叔母の意見に負くまいとすれば昇に一着を輸さなければならぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
半井
(
なからい
)
広明の呈した本は三十巻三十一冊で、
巻
(
けんの
)
二十五に上下がある。
細
(
こまか
)
に検するに期待に
負
(
そむ
)
かぬ善本であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その底にゆきて見れば、恩に
負
(
そむ
)
きし惡人ども集りたり。「ルチフエエル」(魔王)も神に背きし報にて、胸を氷にとぢられたるが、その大いなる口をば開きたり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
国歩
艱難
(
かんなん
)
にして策
未
(
いま
)
だ
成
(
な
)
らず、身を忘れ
聊
(
いささ
)
か
野芹
(
やきん
)
の誠を献ず。才
疎
(
うと
)
く万事人望に
違
(
たが
)
い、徳薄く多年世情に
負
(
そむ
)
く。
皎月
(
こうげつ
)
の門前に
誰
(
たれ
)
か石を折り、芳梅の
籬外
(
りがい
)
に
渠
(
なん
)
ぞ
楹
(
えい
)
を斬る。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
美人も
負
(
そむ
)
きかねた様子で「でも私の姿を見て貴方がアノ様にお驚き成されましては——」叔父
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
われに
負
(
そむ
)
きし挙動など忘れはて、ただ
懐
(
なつ
)
かしさに
堪
(
た
)
えず、げにふびんなるはかの少女なり。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
かく
怜
(
いとし
)
まれつつも宮が初一念は動かんともせで、
難有
(
ありがた
)
き人の
情
(
なさけ
)
に
負
(
そむ
)
きて、ここに
嫁
(
とつ
)
ぎし罪をさへ歎きて止まざりしに、思はぬ子まで成せし
過
(
あやまち
)
は
如何
(
いか
)
にすべきと、
躬
(
みづか
)
らその
容
(
ゆる
)
し難きを
慙
(
は
)
ぢて
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
しかも巍の誠を尽し志を致す、其意と其
言
(
げん
)
と、忠孝
敦厚
(
とんこう
)
の人たるに
負
(
そむ
)
かず。数百歳の後、
猶
(
なお
)
読む者をして
愴然
(
そうぜん
)
として感ずるあらしむ。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
温の目に映じた玄機は
将
(
まさ
)
に開かむとする
牡丹
(
ぼたん
)
の花のような少女である。温は貴公子連と遊んではいるが、もう年は四十に達して、鍾馗の名に
負
(
そむ
)
かぬ容貌をしている。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
かくても誓に
負
(
そむ
)
かざることを得るか。かくても羅馬の俗、
加特力
(
カトリコオ
)
の教に背かざることを得るか。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
二郎はかの
方
(
かた
)
に顔を
負
(
そむ
)
け、何も知りたまわぬかの君は、ただ一口に飲みたまえと命ずるように言いたもう、そのさまは、何をかの君かく誇りたもうぞと問わまほしゅうわが思いしほどなりき。
おとずれ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
富岳
(
ふがく
)
崩るといえども、刀水
涸
(
か
)
るといえども、誓ってこの言に
負
(
そむ
)
かざるなり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その貫一に
負
(
そむ
)
いて……何の
面目
(
めんぼく
)
有つて今更悔悟……
晩
(
おそ
)
い!
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
主人の意に
負
(
そむ
)
いたと云う
廉
(
かど
)
であろう、伯耆は自ら不遇であることを感じたから、何につけ
彼
(
か
)
につけ、日頃不快に思っていた。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これは東栄が
所謂
(
いわゆる
)
性悪
(
しょうわる
)
をして、新造花川に
負
(
そむ
)
いたために、
曲輪
(
くるわ
)
の法で
眉
(
まゆ
)
を
剃
(
そ
)
り落されそうになっているところである。
鴫蔵
(
しぎぞう
)
竹助の
妓夫
(
ぎふ
)
が東栄を引き立てて
暖簾
(
のれん
)
の奥に入る。
細木香以
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
臨海
(
りんかい
)
の
林佑
(
りんゆう
)
、
葉見泰
(
しょうけんたい
)
等
(
ら
)
、潜渓の詩に
跋
(
ばつ
)
して、又
各
(
みな
)
宋太史
(
そうたいし
)
の期望に
酬
(
むく
)
いんことを孝孺に求む。孝孺は果して潜渓に
負
(
そむ
)
かざりき。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
先代の妻は実に優しい女で、夫の言うことに何一つ
負
(
そむ
)
いた事がない。そして自分を始め、
下々
(
しもじも
)
のものをいたわって使ってくれた。あすで
二七日
(
ふたなぬか
)
になるというのは、この女の事である。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
あわれかかるものに成るべきならば
功名
(
てがら
)
を得させて、多年
抱
(
いだ
)
ける
心願
(
こころだのみ
)
に
負
(
そむ
)
かざらしめたし、草木とともに朽ちて行く人の身はもとより
因縁仮和合
(
いんねんけわごう
)
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「君恩未報抱沉痾。暖飽逸居頭稍皤。梅発暄風香戸牖。靄含春色澹山阿。好文化遍家吟誦。奏雅声調人暢和。新歳不登公館去。椒樽相対一酣歌。」一二七の三句があつて病蘭軒の詩たるに
負
(
そむ
)
かない。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
父に
負
(
そむ
)
かず、師に
負
(
そむ
)
かず、天に
合
(
がっ
)
して人に
合
(
がっ
)
せず、道に同じゅうして時に同じゅうせず、
凛々烈々
(
りんりんれつれつ
)
として、屈せず
撓
(
たゆ
)
まず、苦節
伯夷
(
はくい
)
を慕わんとす。壮なる
哉
(
かな
)
。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
五百は終日応接して、
諸人
(
しょにん
)
の望に
負
(
そむ
)
かざらんことを努めた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
しかし腹の底にはこういう
僻
(
ひが
)
みを持っていても、人の好意に
負
(
そむ
)
くことは
甚
(
ひど
)
く心苦しく思っているのだ。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
あはれ
如是
(
かゝる
)
ものに成るべきならば
功名
(
てがら
)
を得させて、多年抱ける
心願
(
こゝろだのみ
)
に
負
(
そむ
)
かざらしめたし、草木とともに朽て行く人の身は固より
因縁仮和合
(
いんねんけわがふ
)
、よしや惜むとも惜みて甲斐なく止めて止まらねど
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
(後、相生橋成る。)橋下水深く流れ濶くして、遠く海上を望む風景おのづから浩大にして、大河の河口たるに
負
(
そむ
)
かざるの趣致あり。橋の下流、佃島石川島月島の一大島をなして横たはるあり。
水の東京
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
某甲
(
なにがし
)
當年何十何歳、自ら顧みるに從來の自己は自己の豫期したりし所に
負
(
そむ
)
くこと大にして、而して今日に及べり、既往は是非に及ばず、今後は奮つて自ら新にし、自己をして善美のものたらしめ
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
“負”の意味
《名詞》
(フ)実数で零(無)より小さい数。
(フ)悪い状態。否定的な状態。厭わしい状態。
(出典:Wiktionary)
負
常用漢字
小3
部首:⾙
9画
“負”を含む語句
背負
脊負
負傷
勝負
負惜
手負
負債
負傷者
請負
気負
引背負
背負梯子
贔負
負目
背負上
背負籠
背負子
御負
背負投
負嫌
...