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反
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そむ
ふりがな文庫
“
反
(
そむ
)” の例文
死体嫌いの平次は思わず顔を
反
(
そむ
)
けました。若くも美しくもある様子ですが、半面血潮に染んで、その物凄さというものはありません。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あなたの云いつけは
反
(
そむ
)
くまいという努力が原初的な形であるので、それによってフーフー云ってやって、さて成程とわかる式ですね。
獄中への手紙:06 一九三九年(昭和十四年)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
子は親を、親は子を、骨肉互いに
反
(
そむ
)
き合って、兵火の間にまみゆる例は、いつの乱世にもある慣い、いわゆる大義親を
滅
(
めっ
)
すでござる。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おそらくは実のむすめに
反
(
そむ
)
かれたよりも、悲しく、辛く、くちおしかったに違いない。それでもいよいよ京へ去る日が近づくと
日本婦道記:墨丸
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
身をも心をも
打委
(
うちまか
)
せて
詐
(
いつは
)
ることを知らざりし恋人の、忽ち敵の如く
己
(
おのれ
)
に
反
(
そむ
)
きて、
空
(
むなし
)
く他人に嫁するを見たる貫一が心は更に
如何
(
いか
)
なりけん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
▼ もっと見る
自分に対して
反
(
そむ
)
き去っているということ、その反き去ってしまった結果として、
惨憺
(
さんたん
)
たる家庭争議がついにこのたびの業火となって、家財
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
長年顔の飾りを勤めていたものを、白くなったからといって、
弊履
(
へいり
)
を捨てるように落すのは人情に
反
(
そむ
)
く。何うだね? 君は然う思わないか?
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
しかし、光秀が信長に
反
(
そむ
)
いたのは、平生の鬱憤を晴すと同時に、あわよくば天下を取ろうとする大志が、あったに違いない。
山崎合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いや、規律に
反
(
そむ
)
けば、同士であろうと隊士であろうと、斬って捨てねば……細木ばかりでなく、同じ隊士でも、幾人となく斬られたものじゃ。
甲州鎮撫隊
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼が人間同士の幾多の信頼に
反
(
そむ
)
いて居ることよりも、この純一な自分の
帰依者
(
きえしや
)
に対しての申訳なさは、彼には
寧
(
むし
)
ろ数層倍も以上に感じられた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
そして正札三十円と値段のついた七
宝
(
ぽう
)
の花瓶が目につくと、まるで
仲違
(
なかたが
)
ひの加藤高明氏にでも出会つたやうに、顔を
反
(
そむ
)
けてそつと通り過ぎた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
そこで予は
遺憾
(
ゐかん
)
ながら、当局並びに同僚たる文武教官各位の愛顧に
反
(
そむ
)
いて、とうとう大阪毎日新聞へ入社する事になつた。
入社の辞
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「不弥の女、我と共に
来
(
きた
)
れ。我は
爾
(
なんじ
)
のために我の命に
反
(
そむ
)
いた使部を罰している。われは彼らに爾の部屋を飾れと命じた。」
日輪
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
わが
日頃
(
ひごろ
)
の
誓
(
ちかひ
)
に
反
(
そむ
)
くものなれば
仰
(
おほ
)
せなれども
御免下
(
ごめんくだ
)
されたし、
好
(
この
)
みてするものはなき
賤
(
いや
)
しき
業
(
わざ
)
の、わが身も
共々
(
とも/″\
)
に
牛馬
(
ぎうば
)
に
比
(
ひ
)
せらるゝを
耻
(
はぢ
)
ともせず
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それから男が大きい
溜息
(
ためいき
)
を
衝
(
つ
)
いた。それを聞いて、女が男の顔を見ようとすると、男は顔を
反
(
そむ
)
けた。そして突然云った。「ここが
好
(
い
)
いじゃないか。」
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
ことに彼が天帝に
反
(
そむ
)
かんとする豪胆のこと、また大敗を受けても再び事を挙げんとする勇気のごときは、読者をしていよいよ
彼
(
かれ
)
に尊敬を払わしめる。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
それが人性の自然に
反
(
そむ
)
くからであると言い、人は皆己れを人類という大木の一枚の葉と思うべきだと語っている。
望ましい音楽
(新字新仮名)
/
信時潔
(著)
中央に芝居小屋などのあるのはもってのほかのこと、御趣意に
反
(
そむ
)
くというわけで、浅草
猿若町
(
さるわかちょう
)
へ転地させられた。
朱絃舎浜子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
彼は智的生活の為めには、即ち地上の平安の為めには何事をも敢えてなさなかった。彼はその母や弟とは不和になった。多くの子をその父から
反
(
そむ
)
かせた。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼等妾達が彼に
反
(
そむ
)
いて行くのを黙つてなす儘にさせたのか、それはお雪伯母にすつかり籠絡されて了つて、彼女の思ひ通りに占有されたのだとも言はれたし
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
だが此処の季節ももう直き閉じますし、それにこの上あの可愛ゆい娘に居られたらわたし達は愛国心に
反
(
そむ
)
くまで娘に国情を探らしてやることになりそうです。
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それが、一瞬間でも長くそこにいたいというかんじで、わたくしは思わず顔を
反
(
そむ
)
けたほどでございます。
蜜柑の皮
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
道理が
戦慄
(
みぶるい
)
して逃げ出し、人情が呆れて顔を
反
(
そむ
)
けるような、そんな奇怪な神の存在をわれ等は知らない。それは人間の迷信が造り上げた神で、実際には存在しない。
霊訓
(新字新仮名)
/
ウィリアム・ステイントン・モーゼス
(著)
ジョンソン博士は見せ物に出た犬や馬の所作をことごとく似せたいわゆる学んだ豕を評して、豕の普通に愚鈍らしきは豕が人に
反
(
そむ
)
けるにあらず、人が豕に反けるなり。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
母親の愛情だけで支えられて生きているのは、何か生の義務に
反
(
そむ
)
くと思うのだった。妓に裏切られた時に
完膚
(
かんぷ
)
なきまでに傷ついた自尊心の悩みに
駆
(
か
)
りたてられていた。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
切角見舞いに来た尊敬する人の気に
反
(
そむ
)
いて、会わないということに堀がその気になったことに、病人のわが儘のかなしみがあって、はなはだ女性的であると私は思った。
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
それはまた、親の計画を
齟齬
(
そご
)
させ、娘を親から
反
(
そむ
)
かせ、混雑と
狼狽
(
ろうばい
)
とを親戚の間に
蒔
(
ま
)
き散らした。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
これは、題名にも
反
(
そむ
)
くし、私自身の意志にも反く訳であるが、歩こうとする今日九日の日が、雨になった。そして、翌日には、私は、東京へ戻らなくてはならぬ用がある。
大阪を歩く
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
而して存ると存らざるとは磐に拠ると拠らざるとに因るとのことである、而して磐は主イエス御自身である、彼に
依頼
(
よりたの
)
み彼の
聖言
(
みことば
)
に
遵
(
したが
)
いて立ち、之に
反
(
そむ
)
きて倒れるのである
聖書の読方:来世を背景として読むべし
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
餌食
(
えじき
)
に
餓
(
う
)
えた、二匹の野獣をみつめているような気がして、いつもであれば浅間しさに眼を
反
(
そむ
)
けずにはいられないのだが、今の場合、二人の姿がみぐるしく映れば映るほど
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
繁殖を欲しなければ繁殖の行為をなさざるに
若
(
し
)
くはない。女子を近づけなければ子供のできる心配はない。女子を近づけながら、しかも繁殖を欲しないのは天理に
反
(
そむ
)
いている。
西瓜
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
私は
日本
(
ひのもと
)
の女で御座りまする。
父母
(
ちゝはゝ
)
に
背
(
そむ
)
かせ、天子様に
反
(
そむ
)
かせる異人の教へは受けませぬ。
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
おれが、なにも、お前のいやなことを強いとるわけじゃないことは、お前も、わかってくれるじゃろう? この街に住んで、商売やっとりゃ、そんなに、街の
風
(
ふう
)
に
反
(
そむ
)
くことも出来ん。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
先生はふいと口を
噤
(
つぐ
)
んだ。そして窓の方に顏を
反
(
そむ
)
けて
佇
(
たたず
)
んだ。黒のモオニングを着た先生の背中は幽かに波打つてゐた。怒りの感情の高潮しきつたその眼には、何時か涙が
潤
(
うる
)
んでゐた。
猫又先生
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
けれども自分は終にこの老いたる父に
反
(
そむ
)
いた。四月六日の夜、細島港を出帆する汽船
某
(
なにがし
)
丸の甲板に佇んで、離れゆく日向の土地を眺めやつた時、自分は欄を掴んで、父の顏を思ひやつた。
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
然らば即ち今日の女大学は小説に非ず、戯作に非ず、女子教育の宝書として、
都鄙
(
とひ
)
の或る部分には今尚お崇拝せらるゝものにてありながら、宝書中に記す所は明かに現行法律に
反
(
そむ
)
くもの多し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一体、風土記に歌を録することの尠いのは、奈良人の古伝承信用の形式に
反
(
そむ
)
いて居る。常陸の分は、長歌めいた物は漢訳するつもりらしいが、短歌やことわざは、原形を尊重して記してゐる。
国文学の発生(第四稿):唱導的方面を中心として
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
即ち支那人は
反
(
そむ
)
く、反けば余儀なく政治上では黙っておられぬ事になる。
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
そして、そこに並べられたのはジッドといふ作家の映像ではなくて、たゞの動物的な
肋骨
(
ろくこつ
)
の陰画であつた。肋骨は枯木のやうにしつかりと枝を張つてゐた。エルアフイ夫人は思はず顔を
反
(
そむ
)
けた。
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
おかみさんは、このやうなことにおくみを使つてゐたのでは、元来の約束にも
反
(
そむ
)
くし、おくみが何一つ先のために得るところがないから、どこか程よいところへ世話をしたいと言つて気にされた。
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
けれどもお駕籠訴の一件がありますから、右京殿は
不興気
(
ふきょうげ
)
に顔を
反
(
そむ
)
けて居りますので、何が
何
(
なん
)
だか一向訳が分りませぬ。暫く無言で
睨
(
にら
)
み合って居ります内に、ちん/\とお退のお時計が鳴りました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
この日の夕飯は食堂のも日本料理なれば
彼処
(
かしこ
)
へ
出
(
い
)
で給へとの人の言葉を
反
(
そむ
)
くも少し憎げなりと思ひ
候
(
さふら
)
ふうへ、物
好
(
ず
)
き
心
(
ごゝろ
)
も進み
居
(
を
)
り
候
(
さふら
)
ひけん、私は船に
入
(
い
)
り
候
(
さふら
)
うて
後
(
のち
)
初めての洋装を致して下へ参り
候
(
さふらふ
)
。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
人の魂いまでも引付けるような巫女の顔は、物凄くなって、見ている人々は顔を
反
(
そむ
)
けたという。
刹那
(
せつな
)
、地震が地球を襲って家を
揺
(
ゆす
)
った。人々は驚きの
瞳
(
め
)
を見張ると死んだ娘は、深い溜息を吐き返した。
薔薇と巫女
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私が、父や母の意志に
反
(
そむ
)
いて作家として身を立てようと心をきめたことに
就
(
つ
)
いても、父や母の悲しみを思ひやるといふ気持を除いては、私の仕事に姉はむしろ好意を持つてゐた。姉は小説好きだつた。
イボタの虫
(新字旧仮名)
/
中戸川吉二
(著)
ハルトマンは是を是とするものなり、非を非とするものなり。その造化有理想といひて、造化無理想といふものにも、造化有理想にあらず、無理想にあらずといふものにも
反
(
そむ
)
きたるはこゝを以てなり。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
言葉もて謗りありきぬ
反
(
そむ
)
くとは少し激しく思ふことかな
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
鬼のような房五郎が、ポロポロと涙をこぼして、立会の役人の袖にすがる有様は、あまりの凄惨さに、見る者の顔を
反
(
そむ
)
けさせました。
銭形平次捕物控:037 人形の誘惑
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
五体のうちの一歯でありながら五体に
反
(
そむ
)
いて、お味方を病め悩ませる別所長治。——齲歯の如き存在といってもまだ飽き足りません。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
恐ろしい
螟虫
(
ずいむし
)
の襲撃に会った上、水にまで
反
(
そむ
)
かれた稲は、絶望された田の乾からびた泥の上に、一本一本と倒れて、やがては腐って行く。
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
この人が、徳川幕府の中心に立って、朝廷に
反
(
そむ
)
くのではない、薩長その他と戦わねばならぬ、と主張することは、絶大なる力でありました。
大菩薩峠:28 Oceanの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“反”の解説
反(たん、段とも書く)は、尺貫法の面積の単位。土地の面積に使われる反と、布の大きさを表す反とがある。これとは別に6間の長さを表す反もある。
(出典:Wikipedia)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
“反”を含む語句
反響
反対
反抗
反覆
反映
仰反
反對
反古
反射
反閇
反返
無反
往反
一反
相反
反歩
反応
文反古
正反対
背反
...