“かえり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:カエリ
語句割合
49.8%
帰途18.4%
13.6%
帰路4.8%
帰宅4.2%
3.3%
帰来0.9%
0.6%
反省0.6%
還幸0.6%
帰京0.3%
帰着0.3%
帰宿0.3%
帰期0.3%
帰舟0.3%
帰郷0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
「やあ、こんなはながここにいているのはめずらしい。このとこなつは、たかやまにあるとこなつです。」と、ほかの人々ひとびとかえりみていった。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「君がはじめて来てくれたのは、二十四年だったかね。そうそう、君をおくった帰途かえりに、巡査にとがめられたことがあったっけなあ。」
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そのような指導は誰がしたか。一言でいうならば麻の一千年間の便利なる経験を、まるまるかえりみなかった先覚とやらの誤謬ではないか。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
自分は人々にならって、堤腹にあしを出しながら、帰路かえりには捨てるつもりで持って来た安い猪口にが酒をいで呑んだ。
野道 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「それから、園長はときどき夜中の一時や二時にお帰宅かえりのことがあるそうですが、それまでどこで過していらっしゃるのですか」
爬虫館事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
独言ひとりごちつゝ大鞆は此署を立去りしが定めし宿所にやかえりけん扨も此日のまさに暮んとする頃の谷間田は手拭にて太き首の汗を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
過ぐる日の喀血かっけつに、一たびは気落ちしが、幸いにして医師いしゃの言えるがごとくそのあとに著しき衰弱もなく、先日函館はこだてよりの良人おっと書信てがみにも帰来かえりの近かるべきを知らせ来つれば
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
ここにおいてか警察部長チーフコンステーブルは万一をおもんぱかり、彼に向かってせつに集会を中止せんことを求めたけれども、元来彼ロイド・ジョージは、自らかえりみてなおからずんばかつ寛博かんぱくといえどもわれおそれざらんや
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
……養父ちちの顔も見たし、弟にも会いたしと、昨日は、愚かな思慕に迷って、一途いちず養父ちちの住居を探しあるきましたが、昨夜ゆうべ、眠ってから静かに反省かえりみて恥かしい気がいたして参りました。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
供奉の公卿百官から滝口たきぐち(近衛兵)の甲冑かっちゅうまで、洩るるはなき鹵簿ろぼであったが、俊基朝臣だけは、天皇のお還幸かえりを仰いだ後も、あとの残務にとどまるものと見せて、じつは飄然
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実は何ですて、わたしも帰京かえりはしても一日泊まりですぐとまた広島ここに引き返すというようなわけで、そんな事も耳に入らなかッたですが。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
飯田町いいだまちのお嬢様はお帰京かえり遊ばす、看護婦さんまで、ちょっと帰京かえりますし、今日はどんなにさびしゅうございましてしょう、ねエ奥様。茂平もへい(老僕)どんはいますけれども
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
意外おもいのほかに暇どりて、日も全く西に沈み、夕月田面たのもに映るころようやくにして帰り着けば。鷲郎わしろうははや門にりて、黄金丸が帰着かえりを待ちわびけん。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
黄金丸は呵々かやかやと打ち笑ひて、「さな恨みそ。今日は朱目あかめぬしに引止められて、思はず会話はなしに時を移し、かくは帰着かえりおくれしなり。構へて待たせし心ならねば……」ト、ぶるに鷲郎も深くはとがめず
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
同宿の悪太郎輩あくたろうばらも心附かなんだが、秋元の女房は近来貞之進の帰宿かえりが遅く、預りの金をことごとく請戻したことから、羽織帯小袖の注文石鹸しゃぼん香水の吟味が内々行われることを考え合せ
油地獄 (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
帰期かえりらせに来た新造しんぞのお梅は、次の間の長火鉢に手をかざし頬をあぶり、上の間へ耳をそばだてている。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
帰舟かえりは客なかりき。醍醐だいごの入江の口をいずる時彦岳嵐ひこだけあらしみ、かえりみれば大白たいはくの光さざなみくだけ、こなたには大入島おおにゅうじまの火影はやきらめきそめぬ。静かに櫓こぐ翁の影黒く水に映れり。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「平田さんがお帰郷かえりなさると、皆さんが楽におなりなさるんですか」
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
……そのゆきかえりか、どっちにしろ切符の表に、片仮名の(サ)の字が一字、何か書いてあると思いますか。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
すこ具合ぐあひわるいから、すぐよう」とつて、火鉢ひばちりながら、かえりけてゐた御米およねおどろかした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かえり咲く花とうたがう雞頭の
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
その日、私は学校のいきかえりとに停車場前の通を横ぎって、真綿帽子やフランネルの布で頭を包んだ男だの、手拭てぬぐいかぶって両手をそでに隠した女だのの行き過ぎるのにった。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)