かえり)” の例文
旧字:
「おやいいものをいただいて、この中には何が這入ってるだろう、あけて御覧んなさい。おやいいもんだネー。オヤもうおかえりでございますか。」
初夢 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
独言ひとりごちつゝ大鞆は此署を立去りしが定めし宿所にやかえりけん扨も此日のまさに暮んとする頃の谷間田は手拭にて太き首の汗を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
き散らしてあったお金をそのままにして置いて、檀那衆がおにげなさると、お辰さんはそれを持っておかえりなさいました
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
それからは茅萱ちがやの音にも、うおかえりかと、待てど暮らせど、大方いつものにへにならつしやつたのでござらうわいなう。
二世の契 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
うちでは御米が清を連れて湯に行くとか云って、石鹸入シャボンいれ手拭てぬぐいくるんで、留守居を頼む夫のかえりを待ち受けていた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「宅の奥様のお手紙を持って参ったのです。何の御用事があるか私には分りません。返事を承わって来い! おかえりになるまで、お待して返事を承わって来い! と、申し付けられましたので。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
一しょに坊様の帽子をも持っておかえりになった。5075
小体こていな暮しで共稼ぎ、使歩行つかいあるきやら草取やらに雇われて参るのが、かせぎかえりと見えまして、手甲脚絆てっこうきゃはんで、貴方、鎌を提げましたなり、ちょこちょこと寄りまして
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「少し具合が悪いから、すぐ寝よう」と云って、火鉢ひばちりながら、かえりを待ち受けていた御米を驚ろかした。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それからさきへは一足も参りません。おや。もうおかえり
「おかえりかえ」といって、五百は微笑した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
毎夜狂言見にきたるかえりには、ここに来てかくは云うなりけり。案じてそれまではねたまわず。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かえりを待っています。わたくしなぞは6675
蝶吉は今夜裏なる常盤津ときわずの師匠のもとに遊びに行ったかえりであった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
うむといったッきり駈出かけだして、その方もまだおかえりになりません。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「おかえりですか。」
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)