“焙”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
あぶ71.6%
ほう7.3%
あた6.4%
い5.5%
や4.6%
ほて1.8%
あ0.9%
おこ0.9%
た0.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの太陽が、一旦、ギラギラと光り出して、地獄と名づくる精神病者の一大解放治療場の全面を焙(あぶ)りまわし初めたらナカナカ止めない。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
気が置けなくて、僕などには行きやすい。僕は行くといつも芋を百匁がとこ食べて、焙(ほう)じ茶(ちゃ)の熱いやつを大きな湯呑にお代りをする。
落穂拾い (新字新仮名) / 小山清(著)
お京(きやう)は家(うち)に入(い)るより洋燈(らんぷ)に火(ひ)を點(うつ)して、火鉢(ひばち)を掻(か)きおこし、吉(きつ)ちやんやお焙(あた)りよと聲(こゑ)をかけるに己(お)れは厭(いや)だと言(い)つて柱際(はしらぎは)に立(た)つて居(ゐ)るを
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
結婚式の夜、茶の間で良人(おっと)は私が堅くなってやっと焙(い)れてあげた番茶をおいしそうに一口飲んでから、茶碗を膝に置いて云いました。
扉の彼方へ (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
筋や、そのほかのことについてはもう思い出せないのであるが、今も焙(や)きついた記憶となって私の心にのこっている一場面がある。
夫婦が作家である場合 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「ああ動く。世の中が動く」と傍(はた)の人に聞える様に云った。彼の頭は電車の速力を以て回転し出した。回転するに従って火の様に焙(ほて)って来た。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
物(もの)焙(あ)ぶる炉(ゐろり)のほとり頸(うなじ)垂れ愁(うれ)ひしづめば
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
片隅(かたすみ)の焜炉(こんろ)で火を焙(おこ)して、お椀(わん)の汁(しる)を適度に温め、すぐ箸(はし)が執(と)れるよう膳を並(なら)べて帰って行く。
渾沌未分 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
母親が息子に担がれて帰るときは母親が酔いすぎて大概泣いている。焙(た)き出したばかりの暖炉(オーフェン)の前で加奈子が土の底冷えをしみじみ床を通して感じた独逸(ドイツ)の思い出である。
豆腐買い (新字新仮名) / 岡本かの子(著)