“あぶ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アブ
語句割合
28.8%
21.8%
19.5%
18.1%
2.6%
2.6%
阿武0.9%
0.9%
0.7%
危険0.7%
浮雲0.7%
0.2%
泡吹0.2%
0.2%
火炙0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
四目垣よつめがきの裾には赤い百合が幾株も咲いていた。わたしは飛んでいるあぶを追おうとして、竹切れでその花の一つを打ち砕いてしまった。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
この千度参りを村の人にしてもらって、あぶない命を取りとめたという者の話なども、注意しておれば折り折りは聞くことができる。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
鹿の湯というのは海の口村の出はずれにある一軒家、樵夫きこりの為に村醪じざけも暖めれば、百姓の為に干魚ひうおあぶるという、山間やまあいの温泉宿です。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
国吉はそう云って走ってゆき、まもなく戻って来ると、なにかの草の葉をあぶったような、べっとりした物をさわの指の患部にり着けた。
榎物語 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「あれ以来、人足どもも大分おとなしくなりましたが、やっぱり気の荒い郡内のあぶものでござるから、おりおり旅人が難儀する由でござりまする」
おっかさんがあぶって上げよう、)と、お絹は一世の思出おもいで知死期ちしごは不思議のいい目を見せて、たよたよとして火鉢にった。
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
長門阿武あぶ郡川上村字三荷カルイ、羽後仙北郡淀川村大字中淀川字殻笈沢からおいざわなどの例も幾分右の想像を助けるようだ。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして、五体はあぶられるスルメのやうに思慮のない狂ほしさで苛々した。彼は、夜、愚鈍な眼差しで煙草を喫してゐる己れの姿を、憎々しく回想して
F村での春 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
長いこと転々としてその昂ぶった神経を持てあましながら、ラッセルのようにものうあぶの羽音を、目をつぶって聞いている中に、看護婦が廻って来た。
グラン・ブルヷアルを初め、目ぼしい大通おほどほりを歩いて人道じんだうから人道じんだうへ越すときの危険あぶなさ。地方から東京へ初めて出た人が須田町の踏切でうろうろするのは巴里パリイに比べると余程よほど呑気のんきである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
「あッ、浮雲あぶない! 斬られる斬られる!」鳰鳥は両手を握り締めた。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あぶぜに下滓かすを吸って生きている、低級無智な者の中にはさまれて暮していなければならなかった母君の、ジリジリした気持ち——(気勝者きしょうもの)といわれる不幸ふしあわせな気質は、一家三人の共通点であった。
樋口一葉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
店の内や外、満地の兵たちはことごとく、ぶっ坐ったり横になったり、また或る者は、口から泡吹あぶくをふいて、ただすこし手や足ばかりを海鼠なまこのようにもがき合っているだけだった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さて夜に入れば千垢離せんこりをとり、百度目に一へんづゝかしらより水をあぶるゆゑ十遍水をあぶ
畜生もう逃さんぞ。逃すものか。火炙あぶりだ。捕まえろ。捕まえろ。入り乱れて聞こえて来るのだ。どすどすとすごい足音が地鳴りのように響いて来る。
いのちの初夜 (新字新仮名) / 北条民雄(著)
「そうら、ねえとこへでもろ」といひながらせはしくぽつと一燻ひとく落葉おちばもやして衣物きものあぶつて與吉よきちせた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あぶり焼きして心見よ、と云うと、情無い下司男げすおとこは、其言葉通りにして見て、これはことの外に結構でござる、生身いきみあぶり焼きは、死したるのよりも遥かに勝りたり、などと云った。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あぶり焼きにしたようなものだが、それに二つの特徴がついている
蠅男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
座蒲團の上にしやがんで、火鉢に二本揃へて立ててある火箸を取つて、二たところへ立てて、それに手を載せてあぶるのである。
半日 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
魚肉獣肉をあぶり、それを肴に酒を飲み、大変もない上機嫌にて、乱舞高歌いたしおるありさま! 呆気にとられおりますると、彼奴きゃつら我々を発見いたし、何やら喚き出したと思う間もなく
猫の蚤とり武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
卵は卵のままにてその功を為すべし、ひなは雛の儘にてその功を為すべし、時機に依れば、彼れみずから卵を煮、雛をあぶるも、以てさらに意とさざればなり。しかれどもこれを以て、彼を残忍なりというなかれ。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
彼等は肉の煮たのや、あぶつたのや、鷄の肉や、色々の種類の魚や、オムレツや、焙菓子クレエプやを食卓へ持ち出した。
山茶花さざんかの咲く冬のはじめごろなど、その室の炭のにおいが漂って、淡い日がらんの鉢植にさして、白い障子にはねの弱いあぶがブンブンいっているのを聞きながら