トップ
>
危
>
あぶ
ふりがな文庫
“
危
(
あぶ
)” の例文
いつこの
川辺
(
かわべ
)
のおれたちの
巣
(
す
)
も
掘
(
ほ
)
り
返
(
かえ
)
されてしまうかわかったものでない。
危
(
あぶ
)
ないとなったら、どこへか
引
(
ひ
)
っ
越
(
こ
)
しをしなけりゃならん。
縛られたあひる
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この千度参りを村の人にしてもらって、
危
(
あぶ
)
ない命を取りとめたという者の話なども、注意しておれば折り折りは聞くことができる。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
どうもおかしな奴だな、今、ああして俺らが後ろへ飛んだ時に、手前がもう一太刀追っかけて来ると、実は俺らも
危
(
あぶ
)
なかったんだ。
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ではなんとしても、おれもひとりとなり、そちもひとりとなり、他の者どももみなばらばらとなって、退散せねば
危
(
あぶ
)
ないというのか」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ちょうどわたしたちがヴァルセをたとうとしたその日、大きな石炭のかけらが、アルキシーの手に落ちて、
危
(
あぶ
)
なくその指をくだきかけた。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
▼ もっと見る
夫
(
それ
)
は
傍
(
そば
)
で
見
(
み
)
て
居
(
ゐ
)
ては
危
(
あぶ
)
な
相
(
さう
)
な
手
(
て
)
もとで
幾度
(
いくたび
)
か
針
(
はり
)
の
運
(
はこ
)
びやうを
間違
(
まちが
)
つて
解
(
と
)
いたこともあつたが、
遂
(
しまひ
)
には
身體
(
からだ
)
にしつくり
合
(
あ
)
ふやうに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
して見ると不信用なのは自分だけで、だいぶ長蔵さんからこいつは
危
(
あぶ
)
ないなと
睨
(
にら
)
まれていたのかも知れない。好い
面
(
つら
)
の皮だ。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
水流
(
つる
)
さんや、お
前
(
め
)
えもよっぽど用心しねえと
危
(
あぶ
)
ねえぞ。丸十の繁から俺は聴いたんだが、お前えは飛んだ
依怙贔負
(
えこひいき
)
の仕事を
鬼涙村
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
「
危
(
あぶ
)
なぃ。
誰
(
だれ
)
だ、刀抜いだのは。まだ町さも来なぃに早ぁじゃ。」
怪物
(
かいぶつ
)
の
青仮面
(
あおかめん
)
をかぶった
清介
(
せいすけ
)
が
威張
(
いば
)
って
叫
(
さけ
)
んでいます。
種山ヶ原
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
花を、
危
(
あぶ
)
ない所に行って取って来て呉れた、ただ、それだけなのだけれど、百合を見るときには、きっと坑夫を思い出す。
女生徒
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
我々から見ると
危
(
あぶ
)
なくてしかたのない肉体上の
無防禦
(
むぼうぎょ
)
も、つまりは、師の精神にとって別にたいした影響はないのである。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
沼南夫人のジャラクラした
姿態
(
なりふり
)
や極彩色の化粧を一度でも見た人は貞操が
足駄
(
あしだ
)
を
穿
(
は
)
いて
玉乗
(
たまのり
)
をするよりも
危
(
あぶ
)
なッかしいのを誰でも感ずるだろう。
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
十二月の三日の
夜
(
よる
)
、同行のものは中根の
家
(
うち
)
に集まることになっていたゆえ僕も叔父の
家
(
うち
)
に出かけた、おっかさんは
危
(
あぶ
)
なかろうと止めにかかったが
鹿狩り
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その左膳の全身から、眼に見えぬ
飛沫
(
ひまつ
)
のような剣気が、ほとばしり出て……萩乃は、何かしら
危
(
あぶ
)
ない感じで、そっと
雪洞
(
ぼんぼり
)
を、壁ぎわへ置きかえた。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
所詮
(
しょせん
)
は
生命
(
いのち
)
さえも
危
(
あぶ
)
ないという恐ろしい
修羅場
(
しゅらじょう
)
になっておりますから「これでは、どうも仕方がない。生命あっての
物種
(
ものだね
)
だ。何もかも
抛
(
ほう
)
り出してしまえ」
幕末維新懐古談:14 猛火の中の私たち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
『おつ
魂消
(
たまぎ
)
えた/\、
危
(
あぶ
)
なく
生命
(
いのち
)
を
棒
(
ぼう
)
に
振
(
ふ
)
る
處
(
ところ
)
だつた。』と
流石
(
さすが
)
の
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
も
膽
(
きも
)
をつぶして、
靴
(
くつ
)
無
(
な
)
き
片足
(
かたあし
)
を
撫
(
な
)
でゝ
見
(
み
)
たが、
足
(
あし
)
は
幸福
(
さひはひ
)
にも
御無事
(
ごぶじ
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その手紙のつづきには、男の
大厄
(
たいやく
)
と言わるる前後の年ごろに達した時は、とりわけその勘弁がなくては
危
(
あぶ
)
ないとは、あの吉左衛門が生前の話にもよく出た。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「私のこと、対世間的なことになると逸作は何でも
危
(
あぶ
)
ながります」って私言ったの。こんな事も抒情的なの。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『何とはア、此處ア瀬が迅えだで、子供等にや
危
(
あぶ
)
ねえもんせえ。去年もはア……』と、
暢氣
(
のんき
)
に喋り立てる。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
渠
(
かれ
)
は
立停
(
たちど
)
まつて、
露
(
つゆ
)
は、しとゞ
置
(
お
)
きながら
水
(
みづ
)
の
涸
(
か
)
れた
磧
(
かはら
)
の
如
(
ごと
)
き、ごつ/\と
石
(
いし
)
を
並
(
なら
)
べたのが、
引傾
(
ひつかし
)
いで
危
(
あぶ
)
なツかしい
大屋根
(
おほやね
)
を、
杉
(
すぎ
)
の
葉
(
は
)
越
(
ごし
)
の
峰
(
みね
)
の
下
(
した
)
にひとり
視
(
なが
)
めて
月夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さういふところに、現代の
危
(
あぶ
)
なさがあり、男の不安があるのだといふ風に考へないわけに行かなかつた。
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
空気銃は小学校時代の
夢想
(
むそう
)
だったが、お父さんが
危
(
あぶ
)
ながって買ってくれなかった。いまそれが自由に使えるのである。学友でも子供だ。自分の楽しみが先に立つ。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
少年は両手で屋根につかまり、
危
(
あぶ
)
なげな様子でうずくまって、兵士らの壁の
彼方
(
かなた
)
を笑いながら見渡し、そしてまた群集のほうへ、揚々たるふうで振り向いていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
度々
(
たびたび
)
方々で人を
轢
(
ひ
)
いたり怪我をさせたので大分評判が悪く、
随
(
したが
)
って乗るのも
危
(
あぶ
)
ながってだんだん乗客が減ったので、とうとうほんの僅かの間でやめてしまいました。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
滝夜叉
(
たきやしゃ
)
が、すっかり恋にうちまかされ、相手に
取
(
と
)
り
縋
(
すが
)
って、うっとりするときでも、どうも今にも懐中から刃ものが飛出しそうで、おれにゃ
危
(
あぶ
)
なくってならなかった
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
私は
危
(
あやう
)
く声を立てるところであった。最前の手紙の中の文句に……私の
生命
(
いのち
)
が
危
(
あぶ
)
ない……今一人の相棒の
生命
(
いのち
)
も駄目になる……とあったのを思い出したからである。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は押しこめられてある桝の縁へ、
危
(
あぶ
)
なつかしさうに手をかけ、うつむいて判事の問を待つて居た。
公判
(新字旧仮名)
/
平出修
(著)
眼が鏡の中で笑ふ、剃刀が咽喉の薄い皮膚を辷る、
危
(
あぶ
)
ない、グツと突つ込んだら
汝
(
おまへ
)
は其儘寂滅だ。
桐の花
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
甚兵衛は
危
(
あぶ
)
ながりましたが、
猿
(
さる
)
が
大丈夫
(
だいじょうぶ
)
だというものですから、そのいうとおりに
従
(
したが
)
いました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
それで今後も
危
(
あぶ
)
なかしく思われてならない。こんなふうに言ってしまおうとは思わなかったことですが、院が私を頼みがいなく思召すだろうと思うことが苦痛ですからね。
源氏物語:35 若菜(下)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
そんな
危
(
あぶ
)
ないことには手を着けないことにして、ここでは自分がこれまで書いた七、八十種の脚本に就いて、一種の経験談のようなものを書き
列
(
なら
)
べて見ようかとも思ったが
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「いえ、そんな事をすると、坊やの命が
危
(
あぶ
)
ないと思つて、——それにたつた十兩ですから」
銭形平次捕物控:043 和蘭カルタ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
堪忍
(
かんにん
)
をし、
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
つても
先方
(
さき
)
は
大勢
(
おほぜい
)
、
此方
(
こつち
)
は
皆
(
みな
)
よわい
者
(
もの
)
ばかり、
大人
(
おとな
)
でさへ
手
(
て
)
が
出
(
だ
)
しかねたに
叶
(
かな
)
はぬは
知
(
し
)
れて
居
(
ゐ
)
る、
夫
(
そ
)
れでも
怪我
(
けが
)
のないは
仕合
(
しあはせ
)
、
此上
(
このうへ
)
は
途中
(
とちう
)
の
待
(
まち
)
ぶせが
危
(
あぶ
)
ない
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
がんの
乱
(
みだ
)
れて
立
(
た
)
つ
時
(
とき
)
は
伏兵
(
ふくへい
)
があるしるしだということは、
匡房
(
まさふさ
)
の
卿
(
きょう
)
から
教
(
おそ
)
わった
兵学
(
へいがく
)
の
本
(
ほん
)
にあることだ。お
陰
(
かげ
)
で
危
(
あぶ
)
ないところを
助
(
たす
)
かった。だから
学問
(
がくもん
)
はしなければならないものだ。
八幡太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
血が失せるかとおもわれるほど、冷いやりとする、向う岸に着いて、根曲り竹を掻きわけ、宮川の池にかけた丸木橋を、
危
(
あぶ
)
なっかしく渡って、嘉門次の小舎へ来た、小舎のわきに
谷より峰へ峰より谷へ
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
で、もう二度と、あんな
危
(
あぶ
)
ないことは起る
筈
(
はず
)
がないと固く信じていらっしゃいます。
やんちゃオートバイ
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
危
(
あぶ
)
ないと車掌が絶叫したのも
遅
(
おそ
)
し早し、上りの電車が運悪く地を
撼
(
うご
)
かしてやってきたので、たちまちその黒い大きい一塊物は、あなやという間に、三、四間ずるずると
引
(
ひ
)
き
摺
(
ず
)
られて
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
ゆえに、よく有り勝ちな
危
(
あぶ
)
な
気
(
げ
)
というものがなく、安んじて鑑賞できるのである。
魅力と親しみと美に優れた良寛の書
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
それを皆が
危
(
あぶ
)
ながって留めたほどに人々の頭は地震でいっぱいであった。岩波は小石川の家が古いために必ず倒壊したろうことを思って、子供の身の上を心配しつつ自転車を飛ばした。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
名
(
な
)
も
月
(
つき
)
の
輪
(
わ
)
のおくまとは、
食
(
く
)
ひ
詰者
(
つめもの
)
と
白浪
(
しらなみ
)
の深き
企
(
たく
)
みに
当
(
あた
)
りしは
後
(
のち
)
の話の
種
(
たね
)
ヶ
島
(
しま
)
、
危
(
あぶ
)
ないことで……(ドン/\/\/\
激
(
はげ
)
しき
水音
(
みづおと
)
)あつたよなア——これでまづ
今晩
(
こんばん
)
はこれぎり——。
鰍沢雪の夜噺(小室山の御封、玉子酒、熊の膏薬)
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「正直者が一番
危
(
あぶ
)
ねえだ。少し時間に
後
(
おく
)
れたりすると、直ぐ無分別をやるからな」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
自分のキ印には気がつかんで——『軍曹どの
危
(
あぶ
)
の御座ります』僕が云うたら
戦話
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
「何しろあの連中のすることは雲にでも乗るようで、
危
(
あぶ
)
なくてしようがない」
挿話
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
料理人 (声)何を乱暴するんだ、いけねえったら、放せ、あッ
危
(
あぶ
)
ねえッ。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
かつて一度も人手を離れて家の外を歩いたことのなかった私は、烈しい車馬の往来が
危
(
あぶ
)
なっかしくて、せっかく出た門の柱に
噛
(
かじ
)
り付いて不可思議な世間の活動を
臆病
(
おくびょう
)
な眼で見ているのであった。
山の手の子
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
無論
(
むろん
)
如何
(
いか
)
なる事のあるとも、そのために日本の存立を
危
(
あぶ
)
のうする事は無いかも知れぬけれども、なお甚だ恐るべきものがある。今日日本の国際貿易に於てその額の大なる、支那に過ぐる処はない。
三たび東方の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
あまりの痛さに
危
(
あぶ
)
なく悲鳴をあげるところだつたが、いやいや、西班牙といふ國には今だに騎士道が行はれてゐるのだから、屹度これは至高の位に登る際に受ける騎士の作法に違ひないと思つて
狂人日記
(旧字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
「
退
(
ど
)
いとくれやっしゃ。衝突しまっせ。
危
(
あぶ
)
のおまっせ。」
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
危
(
あぶ
)
ないと見たら、地べたへ
潜
(
もぐ
)
り込む用意をしている。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
「もし、お
嬢様
(
じょうさま
)
。お
危
(
あぶ
)
のうござります」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
“危”の意味
《名詞》
(キ)危ないこと。
(出典:Wiktionary)
危
常用漢字
小6
部首:⼙
6画
“危”を含む語句
危険
危殆
危險
危急
危篤
危懼
危難
危惧
危機
危気
危坐
危急存亡
安危
危害
危機一髪
危巌
御危篤
危地
草茅危言
危険々々
...