“怪物”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
かいぶつ27.4%
ばけもの25.0%
えてもの20.2%
くわいぶつ10.7%
モンスター3.6%
あやしもの2.4%
けだもの2.4%
モンスタア2.4%
おばけ1.2%
けもの1.2%
エテもの1.2%
スフヰンクス1.2%
メジューサ1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
試合しあいにばかり気をうばわれていた人々は、それよりほんの少しまえに、御岳みたけの西方、御前山おんまえさんの森からいあがったこの怪物かいぶつのかげが
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
塩梅あんばい酔心地よいごこちで、四方山よもやまの話をしながら、いなご一ツ飛んじゃ来ない。そう言や一体蚊もらんが、大方その怪物ばけもの餌食えじきにするだろう。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「何んとかして下さいよ、親分。あんな怪物えてものにのさばられちや、こちとらの耻ばかりでなく、神田つ子一とうの耻ぢやありませんか」
マルタゴン、鈴なり花のマルタゴン、名指なざしてもいいが、ほかの怪物くわいぶつよりもおまへたちのはうがわたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
探偵小説界の怪物モンスター江戸川乱歩が出現して満十年、同じく怪物モンスター小栗虫太郎が出現した。この満十年という年月はどうも偶然でないような気がする。
「黒死館殺人事件」序 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
狐狸こり妖異よういや、鳥のつらをした異形の鬼魅きみ、そのほか外道げどう頭とか、青女あおおんなとか、そういった怪物あやしものが横行濶歩する天狗魔道界の全盛時代で、極端に冥罰めいばつ恠異かいいを恐れたので
無月物語 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「あの、お春姉さんが斯う仰有いましたよ。の何ですって、今日片岡さんの事務所へ行くと、恁麽こんな怪物けだものが見られますって」
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
けれどもその多数者はかの旧教の怪物モンスタアと同じく理想と理性に対する残酷な迫害者であつた。群集の輿論の前に低頭せざる少数異端者は禍なるかな。
少数と多数 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
アンデパンダンと云へば怪物おばけの様な奇体な絵が多い様に想はれるが、実際は純正な絵が多く、純正なおとなしい絵が土台に成つて奇抜な新画を作らうとして居る。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
うとましの怪物けもの鎌首かまくび
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
「みなさん、手を貸して下さい。この井桁を取り払うんだ。……あぶない……井戸の中を覗いちゃいけない。その中には怪物エテものが居る」
古城の真昼 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
全く怪物スフヰンクスだ。過日も友人と話したんだが、今度と云ふ今度こそは幾ら慶応でも理由なしには拒まれない。
「勿論だ。俺には、あらゆる女という女はことごと怪物メジューサに見えてならないところだ。俺はパーシウス(女怪退治の勇者)の剣を、ジウスに授かって……」
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)