怪物くわいぶつ)” の例文
マルタゴン、鈴なり花のマルタゴン、名指なざしてもいいが、ほかの怪物くわいぶつよりもおまへたちのはうがわたしはすきだ。ほろんだ花よ、むかしの花よ。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
きたにはゴビの大沙漠だいさばくがあつて、これにもなに怪物くわいぶつるだらうとかんがへた。彼等かれらはゴビの沙漠さばくからかぜ惡魔あくま吐息といきだとかんがへたのであらう。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
怪物くわいぶつといふものがあるならば、この軍艇ぐんていこそたしか地球ちきゆう表面ひやうめんおいて、もつとおそるべき大怪物だいくわいぶつとして、なが歐米諸國をうべいしよこく海軍社會かいぐんしやくわい記臆きおくとゞまるであらう。
其處そこ長髮ちやうはつ敝衣へいい怪物くわいぶつとめなば、寸時すんじはやくびすかへされよ。もしさいはひ市民しみんはば、すゝんで低聲ていせいに(おう)は?とけ、かれへんずる顏色がんしよくくちよりさきこたへをなさむ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こひしい、なつかしい、ヂュリエット、なんとして今尚いまなうも艶麗あてやかぢゃ? しやかたちのない死神しにがみそなた色香いろかまようて、あのほねばかりの怪物くわいぶつめが、おの嬖妾おもひものにしようために
彼等かれらたゞちにグリフォン(鷲頭獅身しうとうしゝん怪物くわいぶつ)のところて、日向ひなたぽつこしながら寢込ねこんでしまひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
そのとき黒装束くろせうぞく覆面ふくめんした怪物くわいぶつが澤村路之助丈えとめぬいたまくうらからあらはれいでヽあか毛布けつとをたれて、姫君ひめぎみ死骸しがいをば金泥きんでいふすまのうらへといていつてしまつた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
「朝つぱらから惚氣のろけの賣り込みかい、道理で近頃は姿を見せないと思つたよ。ところで相手は誰だ、横町の師匠ししやうか、羅生門河岸らしやうもんがし怪物くわいぶつか、それとも煮賣屋のお勘子か——」
山百合のマルタゴン、なん百となく頭をげて、強いかをりを放つ怪物くわいぶつ淺藍色うすあゐいろ多頭たとう大蛇おろち
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ローマネスク、ゴシツク時代じだいになると、餘程よほど進歩しんぽして一のまとまつたものが出來できた。たとへば巴里ぱりのノートルダムの寺塔じたふ有名いうめい怪物くわいぶつ繼合物つぎあはせものではなくて立派りつぱまとまつた創作さうさくになつてる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
さつとばかりゆきをまいて、ばつさり飛込とびこんだ一個いつこ怪物くわいぶつ
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)