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烘
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あぶ
ふりがな文庫
“
烘
(
あぶ
)” の例文
物を
烘
(
あぶ
)
るの能は夏日に如かざるが如きであるに關らず、猶春風春日は人をして無限の懷かしさを感ぜしむるやうなものである。
努力論
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
(
母
(
おっか
)
さんが
烘
(
あぶ
)
って上げよう、)と、お絹は一世の
思出
(
おもいで
)
。
知死期
(
ちしご
)
は不思議のいい目を見せて、たよたよとして火鉢に
凭
(
よ
)
った。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
風早學士は、毎日林檎を一ツポケットへ入れて來て、晝餐の時には
屹度
(
きつと
)
其の林檎の皮を
剥
(
む
)
いて喰ツてゐる。寒さの嚴しい日などは煖爐に
烘
(
あぶ
)
ツて喰ツてゐることもあツた。
解剖室
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
膝とも談合という事があるから、まア着物でも
烘
(
あぶ
)
って
温
(
あった
)
けえ物でも喰いながら
緩
(
ゆる
)
りと話をするが
宜
(
い
)
い、慌てゝも仕様がねえ、己が
屹度
(
きっと
)
お前の助かるようにして遣ったら宜かろう
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
又其暇に書房にて雪堂と
小音
(
せうおん
)
にて浅間を語り、放言し、脚炉足を
烘
(
あぶ
)
り、
床褥
(
しやうじよく
)
の上に在て茶菓を健啖し、誠に無上の歓楽、宇宙の内何の事か之に
如
(
し
)
かむ、実に恐ろしき程の事、罰にても当らむかと
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
▼ もっと見る
それよりも、徹夜の
温習
(
おさらい
)
に、何よりか
書入
(
かきい
)
れな
夜半
(
やはん
)
の茶漬で忘れられぬ、大福めいた
餡餅
(
あんも
)
を
烘
(
あぶ
)
ったなごりの、餅網が、
佗
(
わび
)
しく
破蓮
(
やればす
)
の形で畳に飛んだ。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おかしき
計
(
ばか
)
りかあわれに覚えて初対面から
膝
(
ひざ
)
をくずして語る
炬燵
(
こたつ
)
に
相
(
あい
)
宿
(
やど
)
の友もなき
珠運
(
しゅうん
)
、
微
(
かすか
)
なる
埋火
(
うずみび
)
に脚を
烘
(
あぶ
)
り、つくねんとして
櫓
(
やぐら
)
の上に首
投
(
なげ
)
かけ、うつら/\となる所へ
此方
(
こなた
)
をさして来る足音
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
其
(
そ
)
れよりも、
徹夜
(
てつや
)
の
温習
(
おさらひ
)
に、
何
(
なに
)
よりか
書入
(
かきい
)
れな
夜半
(
やはん
)
の
茶漬
(
ちやづけ
)
で
忘
(
わす
)
れられぬ、
大福
(
だいふく
)
めいた
餡餅
(
あんも
)
を
烘
(
あぶ
)
つたなごりの、
餅網
(
もちあみ
)
が、
侘
(
わび
)
しく
破蓮
(
やればす
)
の
形
(
かたち
)
で
疊
(
たゝみ
)
に
飛
(
と
)
んだ。
霰ふる
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
親仁
(
おやじ
)
はのそりと
向直
(
むきなお
)
って、
皺
(
しわ
)
だらけの顔に一杯の日当り、桃の花に影がさしたその色に対して、
打向
(
うちむか
)
うその
方
(
ほう
)
の屋根の
甍
(
いらか
)
は、白昼
青麦
(
あおむぎ
)
を
烘
(
あぶ
)
る空に高い。
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
他に寒紅梅一枝の春をや探るならんと邪推なし、
瞋恚
(
しんい
)
を燃す胸の炎は一段の熱を加えて、鉄火五躰を
烘
(
あぶ
)
るにぞ、美少年は最早数分時も
得堪
(
えた
)
えずなりて
黒壁
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
格子
戸外
(
そと
)
のその元気のいい声に、むっくり起きると、おっと来たりで、目は
窪
(
くぼ
)
んでいる……
額
(
おでこ
)
をさきへ、
門口
(
かどぐち
)
へ突出すと、顔色の青さを
烘
(
あぶ
)
られそうな、からりとした春
爛
(
たけなわ
)
な朝景色さ。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
烘
部首:⽕
10画
“烘”を含む語句
可烘
温烘