“ほて”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
火照54.2%
39.3%
火熱3.5%
1.0%
最手0.5%
焔照0.5%
0.5%
0.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
五条橋の袂を、西東から行き交う人々の顔が、みんな汗にうじゃじゃけて、赤く火照ほてって、飴細工の如く溶けてくずれ出しそうに見えた。
恐怖 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「事によると、エリスさんの家にいるかも知れない」街の角に差かかった時、坂口は独言を云ったが、急に顔がほてって来るのを感じた。
P丘の殺人事件 (新字新仮名) / 松本泰(著)
そろそろ酔の廻った叔父は、火熱ほてった顔へ水分を供給する義務を感じた人のように、また洋盃コップを取り上げて麦酒ビールをぐいと飲んだ。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「あゝうごく。世の中が動く」とはたの人に聞える様に云つた。かれあたまは電車の速力を以て回転しした。回転するに従つての様にほてつてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
その一例は九州の日田附近にいた大蔵氏、系図を見ると代々鬼太夫などと名乗り、しばしばおおやけの相撲の最手ほてに召されました。この家は帰化人の末と申しています。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
源吉の右手はカマの焔照ほてりで熱っぽいブレーキを、忙しく廻し始めた。
鉄路 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
笹村は奥まった二階の座敷で、燭台の灯影のゆらぐ下で、二、三杯の酒に酔いの出た顔をほてらせながら、たまには上方語かみがたことばのまじる女たちの話に耳を傾けた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
またそれから波打つような顫動せんどうが伝わってくるのも感ぜずに、ひたすら耳が鳴り顔が火のようにほてって、彼の眼前にある驚くべきもの以外の世界が
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)