“養父”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ちち41.4%
やうふ13.8%
おやじ6.9%
とう6.9%
やぶ6.9%
ようふ6.9%
おとつ3.4%
おや3.4%
ちちおや3.4%
てておや3.4%
とっ3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
世間の中の淋(さび)しさには馴れていたが、家の中の淋しさには絶えかねるらしい。お高は、帰りのおそい養父(ちち)を、しきりに待ちわびていた。
鍋島甲斐守 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼(あ)の人(ひと)あれ程(ほど)の身(み)にて人(ひと)の性(せい)をば名告(なの)らずともと誹(そし)りしも有(あり)けれど、心安(こゝろやす)う志(こゝろざす)す道(みち)に走(はし)つて、内(うち)を顧(かへり)みる疚(やま)しさの無(な)きは、これ皆(みな)養父(やうふ)が賜物(たまもの)ぞかし
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「そうしたほうがいいだろう。ここへ捕手(とりて)が踏(ふ)ン込んで、枕元から縄付きになった日には、養父(おやじ)さんも安々と行く所へも行かれまい」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あんなに固く信じあっていたのに、お養父(とう)さんもお母さんも忘れてこんなに働いていたのに、私は浅い若い恋の日なんて、うたかたの泡(あわ)よりはかないものだと思った。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
そのとき行ったきり私は行っていないが、きけば鶴山の鶴(じつはコウノトリだが)が出石郡から移動して、このころでは養父(やぶ)郡の方へ来たそうである。
故郷七十年 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
養父(ようふ)も義弟も菊五郎や栄三郎寧(いっそ)寺島父子になって了(しも)うた堀川の芝居の此猿廻わしの切(きり)にも、菊之助のみは立派(りっぱ)な伝兵衛であった。最早彼は此世に居ない。片市も、菊五郎も居ない。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎、徳冨蘆花(著)
それからといふものは、まあ娘に言はせると、奈何(どう)しても養父(おとつ)さんの態度(しむけ)とは思はれないと言ふ。かりそめにも仏の御弟子ではないか。袈裟(けさ)を着(つけ)て教を説く身分ではないか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
戦の統率(とうそつ)ぶりも養父(おや)の慾目(よくめ)ばかりでなく大出来でした。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
養父(ちちおや)の方が可愛がって片時も離さないとこういう言種(いいぐさ)でね。……父も祖母も、あれに中(あた)られると思うから、相当に待遇するでしょう。
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
……少しは人情らしいもののあった養父(てておや)の方が——やっぱりどこまでも私の不幸や——早く死んでからというものは、子守で泣かせたあげくが工場へ遣られて、それが三日おき四日おきに
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あれだこれだとお養父(とっ)さんへ橋渡しをさせ、さんざ、あんたに骨を折らして置きながら、話が纒まりかけると、急にあんたを袖にして、口銭の独り占めなんてえのはあんまり太い。
魔都 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)