“そらん”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
35.6%
疎懶20.0%
暗誦17.8%
暗記6.7%
6.7%
4.4%
諳記4.4%
素覧2.2%
暗詠2.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
先生は女が髪を直す時の千姿万態をば、そのあらゆる場合を通じてことごとくこれを秩序的にそらんじながら、なお飽きないほどの熱心なる観察者である。
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
もとは自分の一時の疎懶そらんゆえと後悔したが、もはや追付かず、表向きに顔を出すことが出来ぬ身になり、その後、金平のお金という女と夫婦になり
鳴雪自叙伝 (新字新仮名) / 内藤鳴雪(著)
否々いないな、もっと深いものがありそうにも思われた。で、いつかそれを暗誦そらんじ、それを自分の息として、朗々吟誦することにより、老公のたましいへ触れようとした。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女はこれまで、旅行好なしゅうとや夫にいて、大抵ひとの遊びに行くような場所へは行っていた。内地にある温泉地、海水浴場のさまなぞも、多く暗記そらんじていた。
(新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鶴見は姉と肩をならべながら、『新体詩歌』の中の自由の歌やハムレットの独白なんぞをそらんじて、街頭を歌って歩いた。
その何のためにせしやを知らず、血気に任せてふるまいたりし事どもは、今に到りてみずからその意をりょうするにくるしむなり。昼間黒壁にいたりしことは両三回なるが故に、地理はそらんじ得たり。
黒壁 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
私が姉の家に居る頃、あそこの祖母おばあさんが時々なぐさみに琴を鳴らしたことを貴女に御話しましたらう。小さな甥までが謠曲うたひの一ふしぐらゐは諳記そらんじて居ることを御話しましたらう。
初しぐれここもゆみその匂ひかな 素覧そらん
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
羽織はおり著た禰宜ねぎの指図や梅の垣 素覧そらん
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
竹下は、奇妙な文句を暗詠そらんじながら物々しく筆を執つて“The Coming of St. Authonyオーソニーもやつてきた”と書いて性急な咳払ひを続けた。
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)