そらん)” の例文
時々美奈子は顔をあげて、頭の中で楽譜をそらんじてゐるらしく、正面を向く時、久保は、はつきりとその容貌を見ながら、沁々と呟いだ。
階段 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
鶴見は姉と肩をならべながら、『新体詩歌』の中の自由の歌やハムレットの独白なんぞをそらんじて、街頭を歌って歩いた。
赤本を耽読して悉く之をそらんじ、其他雑芸雑学に通じて衆愚に説法することを楽しむ一個の閑人であるが、胸に一物ある巧案という鍼医の画策によって文殊もんじゅの再生と言いらされ
春水と三馬 (新字新仮名) / 桑木厳翼(著)