“あん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アン
語句割合
27.4%
13.9%
13.5%
11.9%
彼様5.3%
5.3%
4.6%
4.6%
3.5%
1.8%
1.5%
1.1%
0.9%
彼樣0.9%
0.4%
貴方0.4%
0.4%
0.4%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
0.2%
那様0.2%
0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あんじょう、兄は押絵になって、カンテラの光りの中で、吉三の代りに、嬉し相な顔をして、お七を抱きしめていたではありませんか。
押絵と旅する男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
あんずるに桔梗の方は、河内介の「任侠過ぎる申し出で」を、筑摩家に取って代ろうとする彼の野心に基くものと解釈したのであろう。
あんがうまくなくなったわ」おみきはぼんやりと、そらごとのように呟いた、「島屋のまんじゅう、——職人でも変ったのかしら」
枡落し (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そうしてその裏側へあんに自分の長所を点綴てんてつして喜んだ。だから自分の短所にはけっして思い及ばなかったと同一の結果に帰着した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
猪子蓮太郎との関係だつても左様さうでせう。彼様あんな病的な思想家ばかり難有ありがたく思はないだつて、他にいくらも有さうなものぢや有ませんか。
破戒 (新字旧仮名) / 島崎藤村(著)
おらも、あんつあんと行ぐは。」と一人で土をいじくって遊んでいたよしが、土煙の中から飛び出してヨーギの方へ駈けて行った。
土竜 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
「ナニ、芸妓になり下つたト、——あんまりフザけた口きくもんぢやない、乞食のでも宮様だの、大臣さんだのの席へ出られると思ふのか」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
あんとか、ていとか、ろうとか風流な名をつけた豪商の寮や、料理屋が、こんもりした樹立ちのなかに、洒落しゃれた屋根を見せている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
いしくもまをされた。……のこらずつけやきのおあつらへは有難ありがたい、とおもふと、はうのふちをあかくしながら、あんこばかりはちつくすぐつたい。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
張順は、手を振って別れ、あとはあん先生とふたりきりで、道を急いだ。が、さて急いでも急いでも、山東までは前途はるかだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……外廻りをするにして、要心に事を欠いた。木魚をおしに置くとはあんたるこんだ。」
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『アラあんな事を。相変あひかはらず口が悪いのね。』
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「だつてあんまりだわ」「そんな事仰しやるのはお孃樣に其氣がおありなさるからですわ」「何とでもお言ひ、本當に厭なお常つたら無い」
俳諧師 (旧字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「今は其樣そんな氣樂を言つてるけれど——。」とK君は大きな體躯を搖りながら笑つた。「彼時は彼樣あんなことを言つたツけナア、なんて言ふんだらう。」
伊豆の旅 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
母親おっかアさん、そんな事をおっしゃるけれど、文さんは此地こっちなんか心当りがおあんなさるの」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
貴方あんさん、えろう済みまへんが、ちょっと医者らしい家を見つけくんなはらしめへんか。……
深夜の市長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
自窯の不成功をあんほのめかされたが、これはテレ隠しというものであろうではないか。
その雑銘を読めば、かんたいより、すい[#「箠」は底本では「※」]、あんれんしゃ等に至る、各物一々にとう日新にっしんの銘にのっとりて、語を下し文をす、反省修養の意、看取すべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「さう云ふやうなお方がおあんなさらなければ、……私貴方にお願があるのでございます」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「それとも貴方ほかにお約束でも遊ばした御方がおあんなさるのでございますか」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「そこに突立っていたって、探し物は出て来やしませんよ、歩いてごらんなさい、小柄で華奢であんよのお上手なお方」
「ホホホ、小柄こがら華奢きゃしゃで、そうしてあんよのお上手な旦那、またいらっしゃいよ」
投出なげいだしたるに彌助は再び驚き彌々いよ/\きやつ盜賊に相違なしれは何でも何所ぞの家尻やじりを切て盜みし金ならんあん身形みなりをして大金を持て居るは愈々いよ/\推量すゐりやうの通りならんこんな奴にあきなひを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一寸ちよつとなりともきかるゝなら私もお前に云事ありお前の連合つれあひ道十郎殿あん事柄ことがらなられしは全く誰もる者なし實はあのをり十兵衞をころした奴は外にある夫を知て居らるゝかと聞よりお光は飛立とびたつおもひ其十兵衞を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
包装の仕事をやめてうろうろしているせんに、よし! あんねに手伝えやと声をかけてから、料峭りょうしょうと冴えた星明りの外へ出た。
和紙 (新字新仮名) / 東野辺薫(著)
さうしてあん如としてゐる。電車に取りかれながら、太平の空気を、通天に呼吸して憚からない。このなかに入るものは、現世を知らないから不幸で、火宅を逃れるから幸である。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
傷を消毒して、六枚板の鉱泉で温あん法を命じた。一軒を済ませて畑路伝いに隣へ行けば、もう蚊帳を吊っているのが見えて、ここにも怪我人がいるわいと、勇み立つ。
長崎の鐘 (新字新仮名) / 永井隆(著)
犬も国にれるもんで、伊太利のやうな美術国だから那様あんな細つこい繊麗きやしやな翫弄犬を生じたのだらう。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
夏姫は別に大して喜ぶ風も見せずに、ついて行った。斉に入ろうとしたが、丁度、斉の師があんの戦で敗れた所だったので、転じて晋にはしった。
妖氛録 (新字新仮名) / 中島敦(著)