あん)” の例文
第二十一子しん王とし、第二十二子えいあん王とし、第二十三子けいとう王とし、第二十四子とうえい王とし、第二十五子𣟗王としたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
張順は、手を振って別れ、あとはあん先生とふたりきりで、道を急いだ。が、さて急いでも急いでも、山東までは前途はるかだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
野蛮の無為、徳川の泰平の如きは、当時その人民の心身、あんはすなわち安なりといえども、その安は身外の事物、我に向って愉快を呈するに非ず。
教育の目的 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
と再三、再四、申し入れがあったので、朝廷から、あん判官資兼すけかねが召し捕りに向い、関東へ引き渡したが、田越川たごえがわで岡部泰綱の手にかかって、ついに一生を終えた。
ところが、支那しなではぜいがかゝらないので、在留ざいりう日本人たちは、みんな立派りつは器械きかいを持つてゐる。いつもそのてんではがひけたが、印畫いんぐわを見せてもらふとあん心した。
というのは親子夫婦共働きょうどうし、雪をんで家に帰れば身体すでに疲憊ひはいし、夕食を終ればたがいに物語るだけの元気もせ、わずかに拾ったたきぎに身をあたため、あんむさぼるがごときはい
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
あん渡の海苔場へ手伝いに行っていた織笠村の人の話によると、地震を感じて後海岸で海を眺めていると、海面が一体にピカピカ光った。それは夜行虫の光とも違うようであった。
地震なまず (新字新仮名) / 武者金吉(著)
先生夢中で頸部くびを締めつけたもんだから、あんのやつ苦しがって悲鳴をあげたんです。
踊る地平線:01 踊る地平線 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
いやあん先生が、仰天したのは、当然、女の血まみれな死体であったが、もっと驚いたのは、張順が書いたらしい部屋の壁に見えた一行の血文字ちもじであった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
タメルランののち哈里ハリ(Hali)雄志ゆうし無し、使つかいあんに伴わしめ方物ほうぶつこうす。六年、白龍庵さいあり、程済ていせいつのく。七年、建文帝、善慶里ぜんけいりに至り、襄陽じょうように至り、てんかえる。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
一夜北国にありて月明に乗じ独り郊外を散歩し、一けん立ての藁家わらやの前を通過せんとした。ふと隙漏すきまもる光に屋内をうかがうと、を囲める親子四、五人、一言だもかわさずぼんやりとしてあんむさぼっていた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
しん身に十余そうこうむり、自ら馬上にくびはぬ。あんいよいよせまりて、燕王に北坂ほくはんう。安のほこほとんど王に及ぶ。燕の番騎指揮ばんきしき王騏おうき、馬を躍らせて突入し、王わずかに脱するを得たり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
もちろん、張順もあん先生も、頭巾や笠でおもてを深く隠したから、一見、誰とも分らない。これを店のお客と偽って、王定六とじいさんとは、やがて待っていた截江鬼の船にのりこんだ。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)