妖氛録ようふんろく
口数の寡い、極く控え目勝ちな女であった。美人には違いないが、動きの少い、木偶の様な美しさは、時に阿呆に近く見えることがある。この女は、自分故に惹起される周囲の様々な出来事に、驚きの眼を瞠っているように見えた。それらが、自分の為に惹起されたの …