“立罩”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
たちこ82.4%
たてこ17.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
朝霧深く立罩たちこめる海道には、まだ往来の人もなく並木の松を越して彼方に、遠い海が光っている。孫次郎は足を停めて振返った。
おもかげ抄 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
あたりに鬱蒼と立罩たちこめる松、杉、櫟、桜、そのほか様々な木々は、それぞれに思いのままに幹を伸ばし、枝を張り、葉をつけて空を覆っていた。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
公爵と師父ブラウンとが再び最前の細長い鏡の間に戻った頃には、水辺や岸の柳に早や黄昏の色が立罩たてこめていた。
町の中には険呑けんのんな空気が立罩たてこめて、ややもすれば嫉刀ねたばが走るのに、こうして、朧月夜に、鴨川の水の音を聞いて、勾配こうばいゆるやかな三条の大橋を前に、花に匂う華頂山、霞に迷う如意にょいヶ岳たけ