“たちこ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
立罩48.3%
立籠34.5%
6.9%
建込3.4%
立込3.4%
翔込3.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あたりに鬱蒼と立罩たちこめる松、杉、櫟、桜、そのほか様々な木々は、それぞれに思いのままに幹を伸ばし、枝を張り、葉をつけて空を覆っていた。
植物人間 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
長い橋の中ほどに立って眺望をほしいままにすると、対岸にも同じような水門があって、その重い扉を支える石造の塔が、折から立籠たちこめる夕靄ゆうもやの空にさびしくそびえている。
放水路 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そとは深々としたしぐれがたちこめるように降りつづいていた。
津の国人 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
建込たちこんだ家の屋根には一昨日おとといの雪がそのまま残っているので路地へさし込む寒月の光はまぶしいほどに明るく思われたのである。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
すぐに窓の雨戸を明けかけたが、建込たちこんだ路地ろじの家の屋根一面降積ふりつもった雪の上に日影と青空とがきらきら照輝くのでしばらく目をつぶって立ちすくむと、下の方から女の声で
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
例えばキス釣なんぞというのは立込たちこみといって水の中へ入っていたり、あるいは脚榻釣きゃたつつりといって高い脚榻を海の中へ立て、その上にあがって釣るので、魚のお通りを待っているのですから
幻談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
いまの並べた傘の小間隙間すきまへ、柳を透いて日のさすのが、銀の色紙しきしを拡げたような処へ、お前さんのその花についていたろう、蝶が二つ、あの店へ翔込たちこんで、傘の上へ舞ったのが、雪の牡丹へ
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)