“擽”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
くすぐ72.5%
くす19.5%
くすぐっ1.7%
こそぐ1.7%
こそ1.7%
くすぐった0.7%
くすぐつた0.7%
こそば0.7%
くすぐつ0.3%
くすぐッ0.3%
こそばゆ0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
あの人は鼻のあたりにくすぐつたい笑ひを漂はせてる。すると、私は妙にそれが小憎らしく、また、訳のわからない嫉妬が芽ぐんで来る。
脱殻 (新字旧仮名) / 水野仙子(著)
もっと強い烈しい秘密なくすぐったいような快さが、きっと私が雪駄に足をふれさせた瞬間から、私の全身を伝ってくるにちがいない。
性に眼覚める頃 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
盗伐者と地主——こう思うと、変にくすぐったく、情なく、血の遠さを感じた。それが一種の表情になっていたのかも知れない。
歩む (新字新仮名) / 戸田豊子(著)
あるひはまた廷臣ていしんはなうへはしる、と叙任ぢょにん嗅出かぎだゆめる、あるひは獻納豚をさめぶた尻尾しっぽ牧師ぼくしはなこそぐると、ばうずめ、寺領じりゃうえたとる。
彼は急に金持ちの慈善家になったという不思議な感じがすると同時に、此方こっちをそう思いこんでしまった相手の幻想によってこそぐられるのであった。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
真中まんなかはさまった私を御覧。美しい絹糸で、身体からだ中かがられる、何だかくすぐったい気持に胸がしまって、妙に窮屈な事といったらない。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
いしくもまをされた。……のこらずつけやきのおあつらへは有難ありがたい、とおもふと、はうのふちをあかくしながら、あんこばかりはちつくすぐつたい。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何ものか、背後うしろにはこそばゆし、繪艸紙の古ぼけし手觸てざはりにや
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
『わい、くすぐつてえ。』とわめいた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うちの横町の角迄来てくすぐッたいような心持になって、そッと其方角を観る。果してポチが門前へ迎えに出ている。私を看附みつけるや、逸散いっさんに飛んで来て、飛付く、める。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
わたくしは胸の底がうずくような、なま温いような、こそばゆいような、……小夜さよふけに寝床の中で耳を澄ましますと、わたくしの鼓動が優しくコトコトと鳴るのでございまス。