暗誦そらん)” の例文
汝は、いとけなき頃より兵書を読んで、さいひいで、よく戦策を暗誦そらんじ、もまた、教うるにやぶさかでなかった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
否々いないな、もっと深いものがありそうにも思われた。で、いつかそれを暗誦そらんじ、それを自分の息として、朗々吟誦することにより、老公のたましいへ触れようとした。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
、よく暗誦そらんじておくがよい。——もし、云い損ねなどした場合は、そのまま、十文字はりつけにいたすから左様心得ろ。宇宙一瞬の声が、生涯のわかれ目であるぞ。心して申せよ
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この一篇の文章はたれも暗誦そらんじているものだった。三、四年ほど前、ここから近い瑞龍山ずいりゅうざんの境内に建てた老公の寿碑じゅひへ、老公自身が起草して、それに刻ませた一文である。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は前に広陵にいたことがありますから、あの辺の地理は手にとる如く暗誦そらんじています。で、徐盛に私の考えをすすめ、一軍をかしてくれと頼みましたが、彼は自分の尊厳を
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
よどみもなく小娘は読みすすんでいた。源氏物語もこの「空蝉」や「箒木ははきぎ」や「夕顔」の帖などは、たれもくところなので、もう何十遍も読みかえしているらしく、暗誦そらんじているほどだった。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いくら何でも、まさか三尺の童子が、このような難解な書を、暗誦そらんじているなどということはありますまい。法螺ほらもおよそにおふきにならんと、ただ人に片腹痛い気持を起させるだけですよ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どうして、どうして、決して端倪たんげいするわけにゆきません。海をさかしまにし、江を翻す弁才があります。丞相のあらわされたかの孟徳新書をたった一度見ただけで、経をよむごとく、暗誦そらんじてしまいました。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「文章の流麗なるを愛して、いつとなく暗誦そらんじていますが」
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宋江はこれを暗誦そらんじていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)