虚空そら)” の例文
ハハハハ、氷をもてあそべば水を得るのみ、花のにおい虚空そらに留まらぬと聞いていたが、ほんとにそうだ。ハハハハ。どれどれめしにしようか、長話しをした。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
十時を過ぎた頃、一呼吸ひといきかせて、もの音は静まったが、裾を捲いて、雷神はたたがみを乗せながら、赤黒あかぐろに黄を交えた雲が虚空そらへ、舞い舞いあがって、昇る気勢けはいに、雨が、さあと小止おやみになる。
霰ふる (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
天幕テントの屋根の筋目から仰ぐと、暗灰色の虚空そらが壁のように狭くなって、鼻の先に突っ立っている、雨と知りながらも、手を天幕の外へ出すと、壁から浸染にじみ出る小雨に、五本の指が冷やりとする
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
虚空そらは行かず、足よ行くな。 (歌謠番號三六)
青いアーク虚空そらいっぱいに張りわたす……
春と修羅 第二集 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
束の間虚空そらにめぐりて疾風はやち
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
虚空そら高くれいの羽ばたき
しやうりの歌 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
ぎたころ一呼吸ひといきかせて、ものおとしづまつたが、すそいて、雷神はたゝがみせながら、赤黒あかぐろまじへたくも虚空そらへ、ひ/\あがつて、のぼ氣勢けはひに、あめが、さあと小止をやみにる。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
嗚呼高き虚空そら、遠き海
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
つばさをさめて虚空そらに見よ
草わかば (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)