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暗
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そら
ふりがな文庫
“
暗
(
そら
)” の例文
この
節廻
(
ふしまわ
)
しも合いの手もことごとく
暗
(
そら
)
んじてしまっているが、あの検校と婦人の席でこれをたしかに聞いた記憶が存しているのは
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
講義になるとすると、私の講義は
暗
(
そら
)
ではやらない、云う事はことごとく文章にして、教場でそれをのべつに話す方針であります。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遂には
彼處此處
(
かしここゝ
)
暗
(
そら
)
んじたりしが、其後先生の御作にして我が目に觸れしもの一として讀み落したるものもなく、古きをもあさり求めしかば
貝殻追放:008 「その春の頃」の序
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
昼は一日書物を睨んで定石を
暗
(
そら
)
んじ、夜は碁会所に現はれて、忽ち実戦に応用する、といふ熱中ぶりだ。三ヶ月間つづいた。
囲碁修業
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
もとより山のことにかけては何事でも
暗
(
そら
)
んじているこどもを、麓の土民たちはその山の神と呼んだ。そして
侍
(
かしず
)
き崇むる外に山に就ての知識を授けて貰った。
富士
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
▼ もっと見る
まあ百人一首なぞを教えましょう、すると二度か三度も教えるともうその歌を
暗
(
そら
)
で覚えてしまいます……貴方の前ですが、恐しいほど記憶の好い児なんですよ……
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
巨盜の幽靈の手紙は、明かに
紛失
(
ふんしつ
)
しましたが、幸ひ總右衞門が文句を
暗
(
そら
)
んじて居るのと、留吉が筆跡や紙をよく見て置いたので、大體のことは平次にも想像がつきます。
銭形平次捕物控:150 槍の折れ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
暗
(
そら
)
んずることが出来ても、政治をゆだねられて満足にその任務が果せず、諸侯の国に使して自分の責任において応対が出来ないというようでは、何のためにたくさんの詩を
現代訳論語
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
私はもう、どこに何が売られているかを大抵は
暗
(
そら
)
で覚えている。どこで何が取り引きされるかも見知っている。だが、私の持って来た米はどう処分したらいいか。早く金に替えたい。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
土地そのものとしては、
未
(
いま
)
だ未踏の地だが、名に聞いているというよりも、元亀天正以来の歴史と伝記の本で
暗
(
そら
)
んじきっていることを、お角さんは気がつかなかったのがおぞましい。
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして其前の文句も
暗
(
そら
)
で覚えてしまふ位であつた。
秋の第一日
(新字旧仮名)
/
窪田空穂
(著)
彼は坊主ではなかつたが、学生時代には印度哲学を専攻したために、二三の短い経文はおぼろげながら
暗
(
そら
)
んじてゐたから。
黒谷村
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
偏屈人に対しては妙に心理洞察のカンのある彼は、食道楽であるこの中老紳士の舌を、その方面から
暗
(
そら
)
んじてしまって、
嗜慾
(
しよく
)
をピアノの
鍵板
(
けんばん
)
のように操った。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二人は登場人物の
本名
(
ほんみょう
)
をみんな
暗
(
そら
)
んじている。三四郎は耳を傾けて二人の談話を聞いていた。二人ともりっぱな
服装
(
なり
)
をしている。おおかた有名な人だろうと思った。
三四郎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
都下の新聞はすべて読み、その報道の嘘もまことも、そのまま
暗
(
そら
)
んじていた。彼のつくる小説も
勿論
(
もちろん
)
知っていた。小説家というものが意外にも物知らずなのには、むしろ驚いた風があった。
遺産
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
たゞ折々読んで居るのは仏蘭西物の詩だの小説だの、それでなければ美術に関する書籍ぐらいで就中絵画と彫刻の事だけは西洋は勿論印度支那日本の方面迄も一と通り
暗
(
そら
)
んじて居たようでした。
金色の死
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ほどなく経文を
暗
(
そら
)
んじて諷経に唱和し、また作法を覚えて朝夜の坐禅に加はり、敢て三十棒を怖れなかつた。
閑山
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
悉
(
ことごと
)
くひよろ/\してゐると訴へてゐた。
二人
(
ふたり
)
は登場人物の本名をみんな
暗
(
そら
)
んじてゐる。三四郎は耳を傾けて
二人
(
ふたり
)
の談話を聞いてゐた。
二人
(
ふたり
)
共立派な
服装
(
なり
)
をしてゐる。
大方
(
おほかた
)
有名な
人
(
ひと
)
だらうと思つた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
この狸は通称を団九郎と言い、
眷属
(
けんぞく
)
では名の知れた一匹であったそうな。ほどなく経文を
暗
(
そら
)
んじて
諷経
(
ふうきょう
)
に唱和し、また作法を覚えて朝夜の
坐禅
(
ざぜん
)
に加わり、
敢
(
あえ
)
て三十棒を怖れなかった。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そのへんはすべてを
暗
(
そら
)
んじている菅谷の城下お膝元、自慢ではないが、自分の土地について、自分の知らないことを人が知っているような不案内な所が、一ヶ所でもあろうとは思われぬ。
明治開化 安吾捕物:13 その十二 愚妖
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
暗
常用漢字
小3
部首:⽇
13画
“暗”を含む語句
薄暗
暗誦
幽暗
暗黒
暗示
暗夜
暗中
暗闇
暗礁
後暗
真暗
仄暗
微暗
暗号
暗殺
小暗
夕暗
宵暗
暗討
暗々
...