京都の伏見稲荷の近辺に上田食堂といふのがある。京阪電車の「稲荷」といふ停留場の西側出口に立つと、簡易食堂、定食十銭と書いて、露路の奥を指してゐる看板が見える。去年の秋から、その下へ、囲碁倶楽部といふ看板がふえた。僕が京都へ残して来た仕業であ …
著者 | 坂口安吾 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「都新聞 第一八一八七~一八一八九号」1938(昭和13)年6月21日~23日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約9分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約14分(300文字/分) |