そら)” の例文
空にうかんだおからだが、下界から見る月の中から、この世へ下りる間には、雲がさかさまに百千万千、一億万丈の滝となって、ただどうどうと底知れぬ下界のそらへ落ちている。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
薫赫くんかくの氣は先づ面をてり。ヱズヰオの嶺は炎焔そらを摩し、爆發の光遠く四境を照せり。涼を願ふ煩心わづらひごゝろは、我をりてモロの船橋を下り、汀灣みぎはに出でしめたり。我は身を波打際にはたとたふしつ。
夜はますますけて、そらはいよいよ曇りぬ。湿りたる空気は重く沈みて、柳の葉末も動かざりき。歩むにつれて、足下あしもとくさむらより池にね込むかわずは、つぶてを打つがごとく水を鳴らせり。
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)